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Gartner社のJoseph Unsworth氏
Gartner社のJoseph Unsworth氏
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NANDフラッシュ・メモリの市場規模に関するGartner社の予測
NANDフラッシュ・メモリの市場規模に関するGartner社の予測
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需給バランスに関するGartner社の予測
需給バランスに関するGartner社の予測
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 スマートフォンやタブレット端末の市場拡大により、NANDフラッシュ・メモリの需要は増加の一途をたどっている。今後は、クラウド環境を構成するデータ・センター向けの需要も大きく伸びそうだ。同メモリ市場の足元の状況や今後の動向を、米Gartner社のJoseph Unsworth氏(Research Director, NAND Flash Semiconductors)に聞いた。

 まずはNANDフラッシュ・メモリ市場の足元の状況を聞きたい。

Unsworth氏 2011年はマクロ経済の先行きが不透明だったにも関わらず、NANDフラッシュ・メモリの需要は堅調に伸びている。出荷金額ベースでの前年比成長率は20.6%となる見通しである。これはApple社の好調ぶりによるところが大きい。NANDフラッシュ・メモリ市場全体に占めるApple社端末向け比率は、2011年時点で30%に達しており、2012年には33%へ高まる見通しだ。全市場の1/3をApple社向けが占めることになる。

 需給バランスはどのように推移しているか。

Unsworth氏 2011年第3四半期(7~9月)時点ではやや供給不足気味だが、同年第4四半期(10~12月)には供給不足が解消するだろう。東芝や韓国Samsung Electronics社、韓国Hynix Semiconductor社などのNANDフラッシュ・メモリの大手ベンダーが、生産能力の拡大に動いているためだ。ただし当面、大幅な供給過多になることはないと考えている。各社が、需給バランスを大きく崩さないことに気をつけて設備投資を行っているからである。市況を見極めながら段階的に増産するケースが増えており、これはNANDフラッシュ・メモリ市場にとって健全な動きといえる。

 メーカー別の市場シェアはどのように推移しているか。

Unsworth氏 Hynix社の伸びが目立つ。2011年のNANDフラッシュ・メモリ市場全体のビット成長率は前年比80%だったが、同社は同130%と大きく出荷量を伸ばした。このほか、米Micron Technology社もシェアを高めようと積極的な動きを見せている。米Intel社との合弁によるシンガポール工場への出資比率は、当初は50%:50%に近かったが、ここへきてMicron社が出資比率を80%以上に高めている。Intel社はSSD事業に必要な分だけのNANDフラッシュ・メモリを必要としており、シェアを高める考えはないだろう。東芝やSamsung Electronics社のシェアに大きな変化はみられない。

 今後数年間のNANDフラッシュ・メモリ市場の動向をどう展望しているか。また、市場を牽引するアプリケーションは。

Unsworth氏 NANDフラッシュ・メモリ市場は、販売金額ベースで2012年に前年比14.8%増、2013年に同13.9%増となる見通しであり、当面は堅調に推移しそうだ。踊り場を迎えそうなのは2014年で前年比0.4%増にとどまると予測している。従来に比べると、シリコン・サイクルが長くなっている。

 アプリケーションについては、スマートフォンやタブレット端末向けが引き続き伸びる見通しである。さらに、SSDの需要が大きく伸びるとみている。NANDフラッシュ・メモリの容量当たりの販売価格は、2012年後半に1Gバイト当たり1米ドルを下回る可能性が高い。これを境に、SSDの普及が急速に進むだろう。ノートPCなどに加えて、クラウド環境の中核を担うデータ・センター向けの需要が大きく伸びる見通しだ。既に、Google社や米Facebook社などが軒並みデータ・センターにSSDを導入している。

 今後、NAND業界で注目すべき動きを教えてほしい。

Unsworth氏 NANDフラッシュ・メモリの微細化の進展に伴って、信頼性が大幅に低下してきている。これを受けて、エラー訂正技術などの重要性が高まっている。つまり、NANDフラッシュ・メモリのユーザー企業にとっては、メモリを使いこなすためのソフトウエア技術やシステム技術が欠かせなくなってきている。結果として、これらの技術をめぐる提携や企業買収の動きが出てくる可能性が高い。例えばGoogle社などが、NANDフラッシュ・メモリの使いこなしに向けたソフトウエア技術やシステム技術を取り込む動きが出てくるだろう。