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作製した17nm世代のMTJ素子の断面TEM像
作製した17nm世代のMTJ素子の断面TEM像
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 韓国Samsung Electronics社は、スピン注入磁化反転型MRAM(STT-MRAM)を20nm世代よりも先へ微細化するための要素技術を開発した(講演番号:24.1)。MTJ素子の最小加工寸法を20nmよりも小さくしても、トンネル絶縁膜の酸化プロセスを最適化することによって、高い熱安定性と低い書き込み電流値を両立できることを示した。さらに、これまで報告された中で最小の17nm世代の垂直磁化型MTJ素子の動作を確認した。

 STT-MRAMでは、20nm世代以降への微細化可能性を示すことが、DRAMなど現行メモリを置き換えるための課題になる。従来、強磁性電極の磁化の向きを接合界面に対して垂直にした垂直磁化型のMTJ素子を用いることによって、高い熱安定性と小さい書き込み電流値を両立できることが理論的に予測されていた。ただし、垂直磁化を実現するためには、強磁性電極に多層構造やレアアース材料を用いる必要があるとされ、これが実用化に向けた障壁になっていた。

 今回Samsung社は、Ta/CoFeB/MgO/Taという既存の材料・構造を用いたMTJ素子において、トンネル絶縁膜(MgO)の酸化プロセスを最適化し、接合界面での異方性エネルギーを高めることによって、強磁性電極に生じる垂直磁化を安定化させることに成功した。複数の異なる酸化条件を用いて作製したMTJ素子の特性を比較する作業を通じて、高い熱安定性と磁気抵抗比(TMR比)、低い書き込み電流値を両立できるプロセス条件を探索した。この結果、断面寸法が17nm×40nmの垂直磁化型MTJにおいて、熱安定性ファクタを34、TMR比を70%、書き込み電流値を44μAにできた。

 Samsung社によれば、STT-MRAMを20nm世代以降へ微細化し、Gビット級の容量を実現するためには、MTJ素子の熱安定性ファクタなどのさらなる改善が必要という。これは、同社が今回見いだしたトンネル絶縁膜の酸化プロセスに一層の改良を加えることで実現可能としている。