PR

 PTCジャパン(本社東京)は、米PTC社が買収して2011年10月1日に業務統合を完了したIntegrityビジネスユニット(旧MKS社)について、日本国内での今後の方針などを明らかにした。Integrityは組み込みソフトの仕様書やモデル、コードなどの成果物や構成、開発プロセス、変更状況などを管理するツール。ソフトのコードのある部分がどのような要求仕様を満たすために作られたものか、いつだれが作成・変更したかといった、要求仕様と成果物、開発作業を関連付けた管理機能が特徴。「日本の場合、通常の『V字開発モデル』と異なってモデルやコードを作ってみてから要求仕様を決めることがあるが、そのような場合のトレーサビリティも確保可能」(同ビジネスユニット日本・アジアパシフィック統括事業本部長のDavid Jones氏)という。

 Integrityは「成果物管理、構成管理、プロセス管理、変更管理などの機能を単一のツールに持たせているため、それぞれ別のツールを組み合わせてデータをやり取りするのに比べてトレーサビリティを実現しやすい」(同氏)。要求仕様を変更したときに、影響を受けるモデルやソースがどこかを追跡して担当者に確認を促したり、ソースに不具合が見つかったときにモデルや要求仕様のどこに該当するかを判別したりすることができる。以前作成したソフトを再利用して一部変更する際には、ソースだけでなく要求仕様やモデルも関連付けた形で再利用できるため、修正のし忘れや修正の矛盾が発生しないように作業を進められる。

 日本国内では2007年ごろからこれまで、ECUなどを手掛ける自動車部品メーカーに狙いを絞って導入を進めていた。「要求仕様を確定させる前にモデルやソースをとりあえず作り、擦り合わせをしながら後で仕様を決めることが日本ではよくあると認識している。これが必ずしも正しいやり方とは思わないが、そのような作業の進め方が前提であってもトレーサビリティは確保できる」(同氏)。例えば、要求仕様書の章や節(Microsoft Wordにより章や節の構造を持った形で作成した文書を想定)と、ソフト開発ツール「MATLAB/Simulink」のモデルの一部モジュールといった細かい単位での対応付けも可能であり、モデルを修正したときに要求仕様書の該当の節にさかのぼることが可能だ。

 「国内の導入企業は約50社あるが、半分近くが自動車関連」(同氏)という。「最近は完成車メーカーも、例えば燃料電池周りのような革新性を伴うところは自社でソフトを作成するようになっており、Integrityに興味を持ってもらっている」(同氏)状況だ。当面は自動車関連を中心に売り込み、携帯電話機などの分野への展開は「考えているが、急がずに2012年後半ごろから、確実に進めていきたい」(同氏)としている。

 PTCはIntegrityをPLMツール「Windchill」と一体で運用することで、ハードとソフトの管理を一元化できるシステムとしてユーザー企業に提供する考え。Integrityで開発中のソフトについての管理を実行し、成果物が確定したらWindchillでハードと合わせて構成を管理する。Integrityから要件管理機能は抜き出してWindchill側に組み込み、ソフトだけでなくハードとソフト両方をカバーできるようにする考え。

 IntegrityはTUV SUDによるISO26262(車載電子システムの機能安全規格)の認証を受けている。AUTOSAR(車載ソフトの標準規格)、CMMI(ソフト開発能力の指標)、Automotive SPICE(車載ソフト開発プロセスの標準モデル)、RIF/ReqIF(OEMとサプライヤー間で交わす仕様書の標準形式)、ASAM AEによる自動車エレクトロニクス関連規格などに対応しているという。

 自動車部品以外に、旅客機「Boeing 787」用の搭載ソフト構成管理ツール(テンプレート)を全日本空輸と日本航空向けに開発しており、これを米国内の航空会社にも販売する。787では運用中の航空機で用いる組み込みソフトの管理は航空会社の責任になるため、管理システムが必要になるという。このテンプレートは実質的に、他分野の機械装置などのアフターサービス用ツールの原形になり得ると見られる。

■変更履歴
掲載当初、第1文章で「米PTC社は…明らかにした」としていましたが、日本法人としての立場での意向表明でしたので「PTCジャパンは…明らかにした」としました。また第1段落のMKS社の社名を修正し、第3段落の「2005年」は「2007年」に、「MATLAB」を「MATLAB/Simulink」にそれぞれ修正しました。お詫びして訂正します。