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 日本サーキットは、ボード設計・製造、EMSといったセット開発の後工程を事業のベースとして1989年に創業した。現在は、設計の上流部分に対応するハードウェア設計、ソフトウェア設計、技術者派遣も提供する総合的なエンジニアリング会社になった。同社は、新事業としてASIC検証用FPGAプロトタイピング・システムの販売に取り組んでいる。ASICとは銘打っているが、カバーする範囲は部分的なセットと呼ぶべきである。得意とする高速伝送路設計技術を生かして、ASICが搭載される予定のセットのインタフェース部分をカスタム・モジュール化し、"模擬システム"(プロトタイピング・システム)をASIC開発前に短期間で実現する。

 FPGAプロトタイピング・システムとは、大規模FPGAを1個ないし複数個搭載した汎用ボードに、DIMMのメモリー・モジュール、および周辺IOやアナログ回路を載せたサブ・ボードを組み合わせて、最終的なシステム構成を模擬的に実現するものだ。RTL(register transfer level)の設計データが用意できたならば、論理合成を行いゲート・レベルでFPGAにマッピングし、それを動作させることにより検証を行う。

論理エミュレータよりも高速

日本サーキットのブース
Tech-On!が撮影。
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 RTLでの検証は論理エミュレータによる方法もあるが、論理エミュレータは通常、1MHz程度でしか動作しないため、時間がかかる。このため、部分的な検証しかできないことが多い。またRTLからゲート・レベルに論理合成する際の問題を検出できない。これに対してFPGAプロトタイピングでは動作周波数は50MHz程度にまで上げられる。これで、動作全体の検証が行えたり、ゲート・レベルに変換する際の問題点をあらかじめチェックできる。

 ゲート・レベルの動作を確認してからLSI設計に着手することにより、設計手戻りの削減が可能なだけでなく、ソフトウェア開発を先行して開始できる。これで、LSI完成時にはシステム(ハードウェア+ソフトウェア)ができあがっているという構図を生み出せる。

 仮のシステムを構成するという意味では「仮想システム」と呼べるが、筆者は"模擬システム"と呼んでいる。コンピュータ上で行われるシミュレーションを仮想システムと呼ぶことがあるからだ。これに対して、FPGAプロトタイピング・システムは、ハードウェア(FPGAなど)で構成された検証環境である。この区別のために"模擬システム"と呼んでいる。

共同開発者でもある

 日本サーキットの販売するプロトタイピング・システムは米カリフォルニア州San Joseに本社を置く、S2C Inc.の製品である。2011年11月16日~18日にパシフィコ横浜で開催されたEDS Fair 2011 Novemberにおいて日本サーキットはブースを構え、S2Cのプロトタイピング・システムを展示した。日本サーキットは単なる総代理店ではない。例えば、S2CのFPGAボードの設計検証に参加した、いわば共同開発者である。このため、FBGAボードの性能を熟知しており、顧客サポートにおいて的確な技術的アドバイスが可能だとする。