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神奈川県知事の黒岩祐治氏
神奈川県知事の黒岩祐治氏
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パネル・ディスカッションの様子
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 超高齢社会におけるロボットの役割を考える「第1回 かながわ未来フォーラム『介護・福祉ロボットシンポジウム』」が、2011年11月29日に神奈川県横浜市で開催された。地方自治体および地方議員が主導するイベントであり、主催はかながわ未来フォーラム実行委員会(公明党神奈川県議会議員団内)、後援には神奈川県とかながわ福祉サービス振興会が名を連ねる。

「AED技術の登場が救急医療を変えた」

 冒頭の主催者挨拶に続いて、「介護・福祉ロボットには強い思い入れを持っている」と語る神奈川県知事の黒岩祐治氏が、20分に渡って熱のこもった挨拶を繰り広げた。同氏は、「テクノロジーが医療・介護を変えていく」という考えを提示した上で、その考えを持つキッカケとなったキャスター時代の経験を披露した。

 具体的には、キャスターとして救急医療の問題点を追い掛けている中で、AED(自動体外式除細動器)の登場によって、救急医療をめぐる世の中の流れが大きく変わっていった経緯を説明。「ボタンを押すだけで、電気ショックを与えるかどうかはコンピュータが判断する。こうした(AEDにつぎ込まれた)テクノロジーが、医療の姿を大きく変えた」(黒岩氏)と語った。

 こうした経験を踏まえ、黒岩氏は、ロボットなどのテクノロジーによる介護分野の変革も「何とか形にしていきたい」とした。さらに、「そのイニシアチブをとるのが政治の力であり、神奈川で最先端のモデルを実現していく」(黒岩氏)と力強く宣言した。

「心のつながりを持たせるためのロボットが有望」

 続いて、基調講演として芝浦工業大学 副学長の米田隆志氏が登壇。「介護・福祉ロボット産業のこれから」と題して講演した。同氏はまず、日本が強みを持つ産業用ロボットと、介護・福祉ロボットは大きく異なることを指摘。「産業用ロボットは、ベテランのエンジニアが離れた場所から操作するのに対して、介護・福祉ロボットは人に触れるものであり、素人が操作できなければならない」(米田氏)とした。

 さらに米田氏は、これまで開発・実用化されてきた世界各国のさまざまな介護・福祉ロボットの例を紹介。それらの例を踏まえ、「現状はまだ、ロボットが人の手足の代わりになるのは難しい」(米田氏)との考えを示した。一方で、先行して実用化が進みそうなのは「心のつながりを持たせるためのロボットや、リハビリテーションを補助するロボット」(同氏)だとした。

「神奈川県も近い将来に大きな問題に」

 フォーラムの後半では、以下の3種類のロボットの介護・福祉分野への応用事例などについて、開発する各社がそれぞれ紹介した。
・コミュニケーションロボット「PaPeRo」(NEC)
・メンタルコミットロボット「パロ」(産業技術総合研究所)
・ロボットスーツ「HAL」(CYBERDYNE)

 プログラムの最後には、「介護・福祉ロボットへの期待」と題したパネル・ディスカッションを実施。パネリストとして登壇した神奈川県保健福祉局・高齢福祉課長の小島誉寿氏は、「現在の神奈川県の高齢化率は、47都道府県の中で45位。しかし、2025年以降、高齢化率上昇の進行速度は他の自治体に比べても最も急になる」とし、近い将来に高齢化が大きな問題になることを指摘。神奈川県として今回のイベントのような取り組みを進めていく意義を示した。

 同じくパネリストとして登壇した、かながわ福祉サービス振興会 専務理事の瀬戸恒彦氏は、神奈川県の委託事業として同振興会が実施している「介護ロボット普及推進事業」の概要を紹介した(関連記事)