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今回の技術の仕組み
今回の技術の仕組み
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 パナソニックは、脳波を用いることで補聴器を個人に合わせて適切に調整する技術を開発した(発表資料Tech-On!の第1報)。独自に開発した検査音をユーザーに聞かせ、その時の脳波の特定の反応パターンを見ることで、そのユーザーが許容できる最大音量を高精度に推定できる。補聴器の最大音量は、実際に過大な音をユーザーに聞かせると大きなストレスが掛かる。このため、これまではそのユーザーが聞き取れる音量の下限値から統計データを基に推定するのみで、その後の手動での調整作業に平均で1カ月ほどの期間を要していた。

 開発したのは、パナソニックの先端技術研究所 先端イノベーション推進室である。パナソニックは、グループ内のパナソニック ヘルスケアで補聴器事業を手掛けている。今後、福井大学医学部での臨床評価などを経て、2015年ころに実用化する予定である。補聴器の市場は、先進国の高齢化などにより世界的に市場が拡大しているが、これまでは調整の負担の大きさから、購入を断念する層も多かったという。

 一般に補聴器の販売店には、メーカー製の調整システムが備わっており、今回の技術はこの調整システムに実装する。具体的には、聴力検査用のヘッドフォンに脳波計測用の電極を設け、特定の聴覚刺激パターンを与えた際の事象関連電位(脳波の反応パターンの一種)を計測する。事象関連電位のある成分が、そのユーザーの最大許容音量と相関があることを発見したことで、今回の技術を実現できた。

 なお、事象関連電位は脳波をユーザー・インタフェース(BMI)に応用する際にも、よく用いられる信号である。例えば、視覚の場合、ユーザーに対してランダムな順序で文字や画像を提示し,脳波にスパイク状の信号(「P300」という事象関連電位)が現れた際の文字や画像を記録することで,脳波で文字や画像を選択・入力するBMIなどが既に開発されている。