PR

 中国に董事長として赴任することになったという知人から、どうしたら中国の現地従業員をうまく働かせることができるかと聞かれた。私は、かつて中国企業を買収し100名以上の中国人従業員をマネジメントした経験がある。そのときは、ずいぶん苦労をした。

  到中国出任公司董事长的朋友问笔者,如何才能让中国当地的员工忠心耿耿地工作呢。笔者曾经有过收购中国企业,管理100多名中国员工的经历。当时可是花费了不少心血。

 どうしたら上手く中国人の部下をマネジメントできるかというのは、とても難しい問題である。突き詰めると、結局は中国人をトップに据えて任せた方がいい という結論になってしまいがちだ。我々日本人には理解しがたい中国人のプライドや面子の問題があるからである。ただ、自身の経験から、どうすると中国人と上手くいかなくなるか、中国人の部下を怒らせてしまうか、ということについては十分に経験している。それをあらかじめ知っているだけでも、ずいぶんと結果 は違うのではないかと思う。

  如何管理好部下的中国员工是个致命难题。笔者最终得出的结论是,让中国人做公司的一把手。因为中国人有我们日本人难以理解的自尊心和面子问题。就自身经历而言,笔者有很多无法与中国人有好相处、激怒中国下属的种种教训。如果能提前知道这些,结果就会大不一样。

場面1:みんなの前で叱って「面子をつぶすこと」

场景1:在大家面前批评,会让人“丢面子”

 これをやってしまったことがある。従業員全員にそのミスについて詳細を共有しておこうとしただけで、ずいぶんやわらかく説明したつもりだった。しかし、 その中国人従業員は会社を辞めると同時に競争相手企業に転職し、徹底的、かつ執拗に当社の顧客を奪っていった。私に面子をつぶされたと感じた彼は、きっと 今でも私のことを恨みに思っているのだろう。

  笔者就做过这样的事情。本来只是想让所有员工都了解这个错误的详细情节,说的时候语气也很温和。但这名中国员工不但因此辞掉了工作,还去了竞争对手的公司,并坚决彻底地争夺本公司的客户。认为笔者让他没面子的这个人,肯定现在还在记恨着笔者。

 何か中国人従業員が仕事で失敗した場合、みんなの前で叱ったり、その過ちをケースとして皆に失敗をしないことと諭したりするのは最悪だ。面子をつぶされたと感じた中国人は、大げさにいえば末代まで恨む。こうなってしまったら、まず関係修復は不可能だ。

  中国员工在工作中出现失误时,在大家面前批评他,或者以他的错误为例告诫大家不要再犯的做法,在中国是最不可取的。夸张一点说,感觉丢了面子的中国人到死都会记恨你。到了这种地步,关系是绝不可能重修于好的。

 日本では、時間が忘れさせるとか、水に流すと言った考え方がある、それは、中国にはまったくない。それがどれくらい執拗かというとこんなエピソードが中 国にはある。900年近くも前のこと、南宋の宰相だった秦檜(しんかい)将軍の話である。彼は隣国である金との和平を進め講和を結ぶが、その過程で軍閥を 弾圧し、さらには権力保持のために恐怖政治を敷いた。このため、その名は売国奴として後世にまで語り継がれ、杭州の岳王廟にある秦檜夫妻の像に唾を吐きか ける人は今でも絶えない。日本には、死ねばどんな悪人でもその罪が許されてしまうという考え方があるが、中国にはそのようなものはない。だから、自分は覚 えていなくても、相手の中国人は心の中でずっと恨み続けていたりするのだ。

  日本有“时间会淡忘一切”或者“既往不咎”的概念,但中国完全没有。关于中国人有多记仇,中国有这样一个典故。说的是大约900年前,南宋宰相秦桧。 秦桧为了与邻国金国签订和约,杀害了岳飞将军,秦桧为保住权力并实施了恐怖统治。秦桧被称之为卖国奴世代相传,时至今日,仍有人向杭州岳王庙里的秦桧夫妇 跪像吐口水。日本有“无论多大的罪行人死后都能被原谅”的观点,但中国没有。所以,即使自己不记得了,被批评过的中国人也会一直记恨于心。

場面2:そんなこと常識だろうと「自分で考えさせる」

场景2:认为这是常识,“让其自己想”

 最悪な言葉は「そんなことは当たり前だろう」「常識で考えてくれ」「大学を出ているのだから自分でなんとかしろ」「言わないとわからないのか」などだ。 場面1で指摘した面子を傷つけるだけではない。こう言われると、中国人従業員は、自分の利益を中心に勝手に考え行動し始めるのだ。

  在中国最忌讳的话包括:“这是理所当然的”、“用常识想想”、“已经走出校园了,要自己想办法”、“不说你就不知道吗”等等。这样说不仅仅是场景1中提到的伤面子。因为这样说,中国员工往往会以自我利益为中心擅自行动。

 かつて私は、まとまった会社の運営費用を中国人総経理に渡したことがある。そのとき、「この金を上手く運用してください。現地の総経理なのだから常識で 考えてくれればいいと思います」と言ってすべてを彼に委ねてしまった。会社には、予算があり、董事会でもその予算についてしっかり議論した後だったので、 その総経理はしっかり予算通り進めてくれると考えていた。

  笔者曾经将公司的各种运营费用交给中国人总经理支配过。当时全权委托他来使用这笔费用,对他说“请合理使用这笔钱。你是当地的总经理,合理使用就行”。公司是有预算的,董事会也对预算进行了慎重讨论,因此笔者认为这位总经理会严格按照预算支配。

 すると、3カ月ぐらい経って「すでにお金がなくなってしまいました。再度、まとまったお金を送金してください」との連絡がきた。6カ月分以上の資金だっ たはずなので「予算通り進めていれば足りなくなるはずは絶対にない」と問い詰めた。すると総経理はキョトンとしているではないか。調査してみると、すでに 最初の2カ月で6カ月分の金を使い切ってしまったのだ。「これは背任だ」と思い首にしようとしたが、まわりの中国人経営陣に止められた。「彼は、職務を果 たしたまで」「売れ行きが大きくなってきたから、在庫を増やしどんどん資金を使っただけのこと」「彼にとっては最良の判断だった」と。

  但大约3个月后,这位总经理就提出了“钱已经用完。请再拨一些费用”的要求。那笔钱本来是供使用6个月以上的费用,因此笔者问他“如果按照预算使用绝 不可能不够用”。听笔者这样问,那位总经理很是吃惊。调查后发现,他在前两个月就把6个月的钱花光了。笔者认为“这是渎职”,想辞退他,但被周围的中国人 管理层制止了。他们说“他是在履行职责”、“因为销量扩大,为?加库存很快把钱用光了”、“他认为这样是最合理的”。

 「なぜ、報告や相談を私にしなかったのですか」と問い詰めると、「なぜ、報告をしなければならないのですか。私に委ねたはずです」と反論してきた。「会 社には予算があって、会社のことを考えて行動しなければ」と言うと、通訳も中国人経営陣が全員キョトンとした顔になってしまったので、もうこれ以上は追及 するのをやめた。

  笔者问“为什么不跟我报告或者商量?”,他反问道“为什么要报告?是你全权委托我的”。“公司是有预算的,必须考虑公司大局行动”,笔者这样一说,翻译和中国人管理层全都一副吃惊的表情,因此笔者没有再继续追问。

 任せず、しっかりと管理をするのは私の仕事だったのだ。予算を守り、計画になかった出費については事前に報告をするべきというのは、日本人の論理でしかない。

  严格遵守预算,需要支出计划外的费用时应该提前上报――这只是日本人的逻辑。

場面3:「言い返す」

场景3:“反驳”

 「もう少し待遇を良くしてください」と突然、社員代表の中国人従業員が私の所に直談判してきた。私は、「給与も先月上げたし、職場の改善、食堂の改善、トイレの改善、次々と良くしていっている」「もう十分に待遇を良くしているはずだ」と反論した。

  “请给我们提高待遇”,一天,一位中国员工代表突然直接来找笔者交涉。笔者反驳道,“上个月已经涨工资了,工作环境、食堂、卫生间都相继改善了”、“待遇应该已经非常好了”。

 すると、「食堂は、我々の必ずしも好みのものが出ません。それに値段が高い」。で私は、メニューを決めたのは彼らだったのでカチンときて「そんなに気に 入らなければ、自社の食堂を使わなければいい」と言った。すると、彼らは「そんな食堂は意味がない。だいたい・・・」とこの言い合いが延々と続いた。どん どん論点がずれてきて、そもそも彼らは、どの点を改善して欲しかったのか、それすら聞けなかったのである。

  听到笔者的话,他说“公司食堂的饭菜不一定是我们爱吃的。而且价格很贵”。菜单是由中国员工决定的,笔者听到这里很生气,于是说“要是那么不喜欢的话 别在公司食堂吃就好了”。他回答说“那食堂就没意义了。总之……”。我们就这么争论了半天,内容逐渐偏移主题,最终连他们想改善哪方面都没问成。

 後で、これが深刻な問題に発展する。そもそもは、競争相手の企業が給料を上げたが、その上げ幅に比べて当社の給与が10%ほど低かったのでせめて、数% でも上げて欲しいという要望だったのだ。日本と違って、中国人同士は、よく給与明細を見せ合う。他社の給与についてもほぼ知っていると考えてよい。だか ら、他社と比べて少しでも給与が低いと転職してしまう。特に営業マンの転職は激しい。

  这件事的后果愈发严重。后来才知道,其实只是竞争对手的公司提高了工资,对方工资上涨后,本公司的工资比其低了10%左右,所以员工希望至少能提高 几%。与日本不同,中国人之间经常互通工资的多少。可以说对其他公司的工资也大都知道。因此,只要工资比其他公司稍低就会跳槽。尤其是营业人员跳槽的情况 非常严重。

 結局、どっと従業員が競争相手に流れてしまった。あの時私は、くだらない反論をするのではなく、しっかりと相手の言い分を聞くべきだった。それをしていれば防げた事態だった。

  最终,员工都去了竞争对手的公司。现在回想起来,当时笔者不应该说那些毫无意义的反驳话,而是应该认真听对方的观点。那样就能阻止跳槽发生了。

 中国人との会話では、言い返したり、反論をしたりするのは得策ではない。永遠と反論が続き、論点がどんどんずれていってしまう。こうした場面は、商談、 特に見積もり商談でも見られる。中国人は必ず見積もりに対して値切ってくる。そのときに日本側はしばしば「その値切りは不当なものだと」反論をする。これ は賢いやり方ではない。頭から反駁するのではなく、いくらにすれば納得するのか、お互いいくらの利益が享受できるのか、反論ではなく、確認作業をするべき なのだ。話が難しくなった場合は、一度、席を外すのもいい。反論の連鎖を避けるべきだからだ。

  在与中国人交谈时,顶撞、反驳都不是上策。如果一直反驳,话题就会偏离主题。这种情况在谈判中,尤其是价格谈判中常会出现。中国人针对对方提出的报价 一定会还价。这种时候,日方常常会反驳“你这样还价不合理”。这是不明智的做法。不应该立即反驳,而是要进行确认,例如多高的报价对方能接受、双方各能获 得多少利润等。谈不下去时可以暂时离场休息。目的是避免连环反驳。

 最後にもう一つ。最悪の捨て台詞は「日本人だったら」の一言である。この言葉を発したら、あなたの中国でのビジネスは全て終わる。けれども、日本人経営 者は中国でのビジネスで問題が起きるたびに「日本人だったら」と思っているのではないか。だから、とっさのときに最悪の言葉が出てしまう。

  最后,还有一句最忌讳的话,那就是“要是日本人的话,就不会……”。这句话说出口,也就意味着你在中国的业务全部完结了。但每当在中国的业务出现问题时,日本的经营者心里往往会想“要是日本人的话”。所以一旦气愤时就会口不择言。

 相手を変えようなどというのは不遜だろう。自分の気持ちや考え方を切り替える以外に、中国で「上手に」やっていく手段はない。

  想要改变对方的想法往往是徒劳的。要想在中国“顺利工作”,除了转变自己的态度和观念外别无他法。