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開発した、電力消費パターンの予測システム。
開発した、電力消費パターンの予測システム。
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パソコンの蓄電池の充放電制御計画の様子
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実際の運用結果。左上のグラフでの赤線が事前に予測した電力消費パターン。青い棒グラフが実際の10分ごとの消費電力。予測したピーク値より実際の消費電力のピーク値が10.4%低かったという。左下のグラフは、赤が蓄電池への充電に充てている時間帯、ピンクが充放電していない時間帯、黒が電池でノート・パソコンを駆動している時間帯を指す。ノート・パソコンは40台。各ノート・パソコンの蓄電池容量は約60Wh。消費電力の内訳は、ノート・パソコン自身の他、照明スタンド、100W級のデスクトップ型パソコン、そして複合機などの消費電力。一方で天井照明や空調システムの消費電力は含んでいない。
実際の運用結果。左上のグラフでの赤線が事前に予測した電力消費パターン。青い棒グラフが実際の10分ごとの消費電力。予測したピーク値より実際の消費電力のピーク値が10.4%低かったという。左下のグラフは、赤が蓄電池への充電に充てている時間帯、ピンクが充放電していない時間帯、黒が電池でノート・パソコンを駆動している時間帯を指す。ノート・パソコンは40台。各ノート・パソコンの蓄電池容量は約60Wh。消費電力の内訳は、ノート・パソコン自身の他、照明スタンド、100W級のデスクトップ型パソコン、そして複合機などの消費電力。一方で天井照明や空調システムの消費電力は含んでいない。
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 富士通研究所は2011年12月14日、オフィスのノート・パソコンの蓄電池の充放電を「クラウド」、すなわちネットワーク上のサーバー群で制御して、オフィスの消費電力のピークカットを実現するシステムを試作し、初期の実験結果を公開した。将来的には、蓄電池の充放電制御システムをオフィスから、スマートシティ全体に広げる方針だ。特に、スマートシティにおける電気自動車(EV)の蓄電池の充放電制御システムの開発も視野に入れているという。「ノート・パソコンとEVは、共に蓄電池を備え、移動して管理システムから離れる点がよく似ている」(富士通研究所 ソフトウェアシステム研究所)。

 今回試作したシステムは、(1)オフィスの電力消費の10分単位の変化を事前に予測する技術、(2)ノート・パソコンの充放電を制御するソフトウエアなど、から成る。(1)の予測技術は、以前の天気予報のように、過去の電力消費の多数のパターンとその出現確率などを基に、当日最も起こりやすい電力消費パターンを予測する技術である。

 一方、(2)の技術は各ノート・パソコンの蓄電池の残量や利用者ごとの使い方などの情報をクラウド上に集め、そのデータと(1)で得た電力消費パターンから、各ノート・パソコンの蓄電池の充放電のスケジュールを計画する技術である。その際、蓄電池の劣化を防ぐため、充放電の容量を20~80%の範囲に収めることや、外回りの多い利用者のノート・パソコンの蓄電池はあまり使わないようにするといった各種の条件を考慮するという。

 (1)と(2)の具体的な運用は以下の通りになる。オフィス内の電力消費パターンで消費電力が比較的小さい時間帯はノート・パソコンの蓄電池を充電する時間に充て、消費電力が最大になる「ピーク時間帯」には、ノート・パソコンを電池駆動に切り替えて、交流電源からの電力を使わないようにする。

 充放電の制御に電力消費パターンを用いるのは、あまり大きくないノート・パソコンの蓄電池容量を最大限に生かすためである。仮に、ピーク時間帯以外で蓄電池を使ってしまうと、肝心のピーク時間帯に充電を始めてしまい、逆効果になるケースもあるとする。

 富士通研究所は、2011年9月末に同社のオフィスで試作したシステムを実際に検証した。40台のノート・パソコンがあるオフィスでは、最大10.4%の消費電力のピークカット効果があったという。また、ノート・パソコン800台から成るオフィスを想定したシミュレーションでも9.0%のピークカット効果を得たとする。「2012年度には、社外のオフィスも含めた本格的な実証実験を実施し、その結果を基に早ければ同年度末に製品化を検討する」(富士通研究所)。