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図1●文部科学省が2月8日に開催した「大学発新産業創出拠点プロジェクト」の公募説明会
図1●文部科学省が2月8日に開催した「大学発新産業創出拠点プロジェクト」の公募説明会
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 2月8日に、文部科学省は「大学発新産業創出拠点プロジェクト」の公募説明会を東京都千代田区で開催した(図1)。日本の大学や研究系独立行政法人などが産み出した独創的な基礎研究成果を基に、“事業プロモーター”と名付けた“目利き”専門家人材が事業シーズ(事業プロトタイプ)まで育成し、ベンチャー企業などが新規事業起こしに入れる態勢づくりを狙う新政策である。

 文科省科学技術・学術政策局の産業連携・地域支援課は平成24年度(2012年度)から予算13億円(見込み)で「大学発新産業創出拠点プロジェクト」を開始するため、その新政策の目的と仕組みを説明し、事業プロモーターの公募日程などを公表した。

 大学発新産業創出拠点プロジェクトは「事業プロモーター支援型」と「プロジェクト支援型」の二つの補助事業で構成されていることが、利益相反などを考慮して工夫した点だ。

 「事業プロモーター支援型」は、事業プロモーターが大学などが産み出した独創的な基礎研究成果を基に、その事業化価値をマーケティング調査するデューデリジェンスなどを実施し、その事業化に必要な要素技術を付加し、将来の事業化に必要となるリスクマネーの調達につなげるハンズオン支援を担当する仕組みへの補助事業である。

 大学発新産業創出拠点プロジェクトの公募説明会の前半に実施されたシンポジウムのパネリストである新日本有限責任監査法人の江戸川泰路パートナーは「大学の教員などが事業化できると想定する研究成果の中身と、企業などが事業化を検討する事業シーズの中身にはギャップがあり、このギャップを埋める研究開発が不可欠」と、事業プロモーターがハンズオン支援する中身を解説した。

 この見解の違いであるギャップを埋めない限りは、大学などは優れた基盤研究成果を、日本企業が受け取らないと嘆くだけであり、企業側は日本の大学などは事業化に役立つ研究成果を産み出していないと非難する状況が続くことになる。

 このギャップを埋める研究開発を実施する費用である“ギャップファンド”は、米国ではベンチャーキャピタルが、台湾では行政が、韓国では大企業がそれぞれ主に投資する仕組みがあり、「大学などの研究成果を基にした新産業・新事業起こしのハンズオン支援によるエコシステムができている」と、産業連携・地域支援課の木村直人地域支援企画官は説明する。

 事業プロモーターは、知的財産やインキュベーションの専門家などを加えた原則4人のユニットを基に、1年間の活動費を原則3500万円(上限)で、大学などの研究成果の事業化支援を担当する。支援期間は5年間で、3年目に評価委員会による中間評価を受ける。人件費は事業プロモーター側が原則、負担する仕組みである(例外の規定があるが、詳細は省略する)。

 平成24年度の同施策の全体の予算見通しは13億円であるため、今回は7~8の事業プロモーターユニットを選ぶ予定である。事業プロモーターの公募は2月8日から開始し、締め切りは2月29日午後5時である。事業プロモーターの公募に応募できる資格は、日本に法人格を持つ組織であることだ(詳細は文科省の公募要領を参照)。

 産業連携・地域支援課は、この「大学発新産業創出拠点プロジェクトによって、日本の産学官金(金融機関)が連携し、持続的な科学技術イノベーションの仕組みである“日本型イノベーションモデル”を構築し、日本での新産業・新事業起こしを活発化させることが目的」と説明した。