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「TransferJet」に対応した送受信LSIの新製品「CXD3271GW」
「TransferJet」に対応した送受信LSIの新製品「CXD3271GW」
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 ソニーは、近接無線規格「TransferJet」に対応した送受信LSIの新製品「CXD3271GW」を開発した(発表資料)。同社は、TransferJet対応LSIの第3世代品と位置付ける(Tech- On!関連記事1同2)。スマートフォンやタブレット端末、コンパクト型デジタル・カメラといった携帯機器に向けたもの。2012年4月のサンプル出荷、同年8月の量産を予定する。サンプル価格は500円。特徴は、同社従来品と比較して、実装面積の削減と消費電力の低減を実現した点である。

 実装面積の削減は、集積化とチップの小型化で実現している。集積化に関しては、まずRF回路とベースバンド処理回路を1チップ化した。従来品は、RFチップとベースバンド処理チップを1パッケージに封止していた。ベースバンド処理チップとRFチップとで、異なるCMOSプロセスで製造していたからである。

 続いて、TransferJetの送受信機能を実現する上で必要な周辺部品を集積化した。バランや送受信スイッチ、1回書き込み型(OTP)の不揮発性メモリ、LDOレギュレータなどを集積している。加えて、「マルチリファレンスクロック対応」を図り、26MHzや19.2MHzといった、携帯電話機などで利用されている参照クロックを共用できるようにした。これにより、TransferJet専用のクロックを不要にした。

 こうした集積化によって、アンテナとして機能する「カプラ」と、RFフィルタ、電源用のバイパス・コンデンサを外付けすれば、TransferJetの送受信機能を実現できるようになる。

 加えて、TransferJet対応LSI単体としても小型化している。外形寸法が6mm×6mm×0.72mmで、96端子の「WFLGA」パッケージ封止する。ソニー従来の携帯機器向けTransferJet対応LSI製品(「CXD3268AGW」)は、8mm×5.5mm×0.78mmだった。

 集積化とLSI自体の小型化により、携帯機器向けの従来品CXD3268AGWを利用する場合と比較して、TransferJetの送受信機能を実現するために必要な部品点数と実装面積を約60%削減できるという。

消費電力を30%以上削減


 消費電力の削減に関しては、CXD3268AGWと比較して、連続受信時で34%、待ち受け時(間欠受信時)で36%消費電力を低減した。

 インタフェースとしては,SDIO 3.0(UHS-I)に対応。携帯機器向けの従来品CXD3268AGWでは、SDIO 2.0対応だった。SDIO 2.0の最大データ伝送速度は、TransferJet規格の実効的な最大データ伝送速度375Mビット/秒を下回るため、CXD3268AGWのデータ伝送速度は110Mビット/秒と遅かった。今回SDIO 3.0に対応したことで、350Mビット/秒を実現できるとする。

 このほか、TransferJetの規格値を上回る受信感度を備えた点も特徴とする。具体的には、「Rate65」受信時で-82dBm(規格値は-71dBm)、「Rate522」受信時で-70dBm(規格値は-59dBm)である。

 ソフトウエア開発キットとして、Android版とLinux版を用意する。

 なお、実現技術の詳細については、「ISSCC 2012」(2011年2月19~23日:米国サンフランシスコ)で発表した(講演番号:26.1)。