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Active-Semi社CEOのLarry Blackledge氏
Active-Semi社CEOのLarry Blackledge氏
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Active-Semi社の概要
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従来手法の弱点を克服する
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PACの構成
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無停電電源装置への適用例
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電磁式暖房機器への適用例
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 米Active-Semi社は2012年10月下旬、ARMコア・ベースの32ビット・マイコンと、600Vまでの高耐圧に対応するパワー制御用アナログICを1パッケージ化した「PAC(Power Application Controller)」プラットフォームのサンプル出荷を開始した。産業機器や白物家電、太陽光発電など多くの用途で、モータやインバータ、コイルなどの駆動制御に使える。駆動回路に必要なアナログ機能の大半を1パッケージに集積しており、その機能は用途や顧客に応じてカスタマイズ可能だ。マイコンと多数のアナログ部品で構成する、IPM(integrated power module)ベースのパワー制御回路に比べて、「開発期間を半減でき、コストも半分以下に削減できる」(Active-Semi社)。今回、PACの第1弾製品としてそれぞれ異なる用途を想定した10品種のサンプル出荷と、評価用ボードの提供を始めており、2013年初頭から量産する計画だ。

 Active-Semi社は米国に本社を置くアナログ半導体メーカーでありながら、約150人の社員の過半数が上海法人に籍を置き、CEOも同拠点で指揮を執るという、アジア志向の極めて強い企業である。ベトナムのハノイには、同地域で唯一というアナログ半導体の設計拠点を持つ。同社はこれまで、携帯電話機の充電器などに使うAC-DCコンバータICを主力製品としており、顧客の大半はアジア企業であるという。今回のPACの製品化により、「韓国など東アジア地域の顧客をさらに開拓するとともに、省エネ機器への取り組みで先行する日本市場を獲りにいく」(同社)考えだ。来日した同社CEOのLarry Blackledge氏にPACに懸ける意気込みを聞いた。同氏は米Texas Instruments社の液晶ドライバIC事業の責任者を長く務めた経験があり、その間の7年間は日本に滞在していたという。

─問 PACの特徴とユーザーが得られるメリットについて聞きたい。

Blackledge氏 PACは、モータやインバータの駆動に必要な多くのアナログ機能を集積しているため、パワー制御回路に必要な外付け部品の点数を従来手法に比べて大幅に削減できる。例を挙げたい。出力1kWの無停電電源装置では、従来手法ではパワー制御部にICが6個、トランジスタが17個必要で、プリント基板は2枚必要だった。これに対し、PACを使えば、ICはPACだけで済み、外付けのトランジスタは不要。これにより1枚のプリント基板に必要な機能を収められる。出力1.2kWの電磁式暖房機器では、従来手法ではICが3個、トランジスタが7個必要だったが、これらすべてをPACに置き換えられる。コストの面でも、IPMが5~7米ドルであるのに対し、PACは2.5米ドルで半分以下に下げられる。これらのメリットから、PACは“IPMキラー”になるだろう。

─問 多くのアナログ機能を単一パッケージに集積した製品は、競合の半導体メーカーも力を入れている。PACがこうした他社の製品と違うのはどのような点か。

Blackledge氏 アナログ機能の集積度の高さが、他社の製品に比べて群を抜いて高いと自負している。他社品では、数個のアナログ部品は削減できても、その他の多くのアナログ部品がプリント基板に残ってしまう。これに対し、PACでは必要なアナログ機能のほぼすべてを1パッケージに収められる。600Vといった、耐圧が非常に高いアナログ部品の機能をマイコンと同じパッケージに収められる点も、他社品にはない特徴だ。

─問 PACのデジタル部には汎用のARMコアを使っている。独自に工夫した部分はあるのか。

Blackledge氏 デジタル部についても独自の工夫を加えた。例えば、独自開発した高速デジタル回路を、IPコアとしてARMコアの近傍に埋め込んでいる。これにより、例えばモータからデータを取得する際に、自動サンプリング機能などを実現できるようにしている。この他に我々がPACで訴求したい点として、パッケージ内部の信号処理のシーケンスを外部から読み出すことができないという特徴がある。つまり、PACに盛り込む機能を顧客や用途に応じて合わせこんでしまえば、その顧客は技術漏洩などを心配することなく、PACを製品の差異化に利用しやすいというわけだ。

─問 PACで狙うのはどのようなアプリケーションか。また、想定している顧客は。

Blackledge氏 PACの用途は、産業機器のモータやインバータの制御、太陽光発電向けインバータの制御、IH調理器のコイル制御など実に幅広い。我々の製品に対するアジアの機器メーカーの関心は高い。一例として、韓国LG Electronics社が白物家電向けにPACの採用を積極的に検討してくれているほか、省エネ意識の高い日本の機器メーカーにも採用のポテンシャルを感じている。我々は日本市場の開拓を重視しており、この先、日本メーカーとは強固な協力関係を築いていきたい。

─問 PACを搭載した機器が市場に出てくるのはいつごろになるのか。

Blackledge氏 我々は今、PACのサンプル出荷を始めたばかりだ。例えば白物家電では機器メーカーがサンプルを調達してから最終製品に搭載するまでに18カ月程度を要する。このため、PACを搭載した白物家電が製品化されるのは2014年第1四半期ごろになるだろう。これよりも早くPACが実製品に搭載される見通しなのが、ブレンダーなどの小物調理器具や太陽光発電向けインバータだ。前者は2013年第2四半期、後者は2013年後半にPACの搭載が始まるとみている。これらの用途では、まずは中国の顧客、続いて韓国や欧米の顧客にPACを採用してもらえそうだ。