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半導体事業の構造改革について、2月7日の決算説明会で説明する富士通の山本氏
半導体事業の構造改革について、2月7日の決算説明会で説明する富士通の山本氏
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富士通の半導体事業の施策
富士通の半導体事業の施策
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 富士通は2013年2月7日、半導体事業の抜本的な構造改革として、パナソニックとの間でシステムLSI事業を統合すると発表した(関連リリース1関連リリース2)。富士通の100%子会社である富士通セミコンダクターとパナソニックがそれぞれ手掛けてきたシステムLSI事業の設計開発機能を統合し、ファブレス形態の新会社を設立することで基本合意した。富士通はこれに加えて、台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.)らと共同で、LSIの受託生産会社(ファウンドリー)を設立する方向でTSMCらと協議を進めており、この新会社に三重工場の300mmラインを移管する方針である。これらの施策は「いかに日本に(半導体の設計・製造を)残すかを考えた結果だ」(富士通 代表取締役社長の山本正已氏)とした。

 富士通とパナソニックはシステムLSI事業を手掛けるファブレス会社の設立について、今後、正式契約に向けた具体的な検討を進めていく。これと並行して、日本政策投資銀行に新会社への出資や融資を依頼している。新会社の設立時期は「2013年度半ばくらいになる」(富士通 取締役執行役員専務の肥塚雅博氏)見込み。新会社で手掛ける主な製品分野としては、(1)高性能サーバーや超高速ネットワークなどのクラウド・インフラ向けに向ける「ハイパフォーマンス・ソリューション」、(2)次世代テレビや画像認識などの応用に向ける「ビジュアル&イメージング・ソリューション」、(3)モバイル機器などに向ける「ワイヤレス・ソリューション」を挙げた。特に、カスタムLSI(ASIC)や画像処理用のASSPに注力するという。富士通が手掛けるサーバー機やネットワーク機器などに向けるシステムLSIについては、アーキテクチャ設計や回路/論理設計はこれまでどおり富士通が手掛け、レイアウト設計については富士通セミコンダクターに代えてパナソニックと設立する新会社に、製造に関してはTSMCらと設立する新会社へ委託する方針である。

 ファブレス新会社への出資比率などについては、これから富士通とパナソニックの間で協議を詰める。2社ともに「新会社が独立した事業体として発展していくという了解の下で、(出資比率などの)協議を進める」(肥塚氏)。なお、システムLSI事業の統合に関する協議には当初、ルネサス エレクトロニクスが加わっていた。新会社へのルネサスの合流に対しては「門戸は開いている」(山本氏)という。

 富士通がTSMCらと共同で設立する予定のファウンドリーについて、両社の協議は「かなり煮詰まっている」(山本氏)とする。富士通は同ファウンドリーに出資する予定だが、過半をTSMCが出資する方向で協議を進めているもようだ。同ファウンドリーは、国内外の顧客に高品質で先進的な半導体製品を安定的に供給すると共に、グローバル市場で高い競争力を発揮することを目指すという。この新会社にパナソニックが参加するかどうかについては「コメントを差し控えたい」(肥塚氏)とした。

 これらの施策の結果、富士通が富士通セミコンダクター側に残すのは、マイコン・アナログ事業。同事業については今後、他社への事業譲渡などを含む「あらゆる可能性を検討する」(肥塚氏)。富士通セミコンダクター側に残る半導体工場は、三重工場の200mmラインと会津若松工場の150mmライン、富士通セミコンダクターテクノロジ(FSET)の200mmラインの三つ。これらについては減損後に会津若松地区へ集約し、コンパクトな経営体へ転換するとしている。

 以上の構造改革に伴って、富士通セミコンダクターからは約4500人が新しいファブレスおよびファウンドリー会社などへ転籍する他、約2000人の人員削減を予定している。さらに、富士通セミコンダクターは2012月10月1日付けで岩手工場(前工程)をデンソーに譲渡、および2012年12月21日付けで後工程3拠点をジェイデバイスに譲渡しており、これらを通じて約2400人が転籍済みである。結果として、富士通セミコンダクターに残る人員は「2000人弱になる見通し」(肥塚氏)である。

■変更履歴
記事初出時、最終段落で「富士通セミコンダクターは2012月10月1日付けで岩手工場(前工程)をデンソーに譲渡すること、および2012年12月21日付けで後工程3拠点をジェイデバイスに譲渡することで各社と合意しており、これらを通じて2400人が転籍する」としていましたが、正しくは「富士通セミコンダクターは2012月10月1日付けで岩手工場(前工程)をデンソーに譲渡、および2012年12月21日付けで後工程3拠点をジェイデバイスに譲渡しており、これらを通じて約2400人が転籍済みである」でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。