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極めてシンプルな機能が人気を呼ぶ

 GoPro本体が備える基本機能は、極めてシンプルである。170度の広角レンズで動画と写真を撮影できること。それだけだ。デジタル・カメラでは当たり前の写真や動画を確認する液晶モニターすら標準では備えていない。

 主な利用者のターゲットは、モータースポーツやサーフィン、自転車といったアウトドア・スポーツを楽しむ人々である。機能は限定的であるものの、用途に合わせた防水・防塵用のケースや、さまざまな場所に取り付けるためのアクセサリーといった豊富な付属品が好評を得ている。アウトドア・スポーツの愛好家が自分のプレーや技量を手軽に撮影し、動画共有サイトやSNSなどで友人と共有したいニーズに合致した。

 2009年末に第1号機を発売してから、3世代目までのシリーズ合計で300万台超を販売。価格は、付属品とのセットで3万~4万円ほどである。現在、一般的なコンパクト機の平均販売単価は1万5000円ほどで、1万円を切る価格で売られる機種も少なくない。そうした逆風下で、1万円を切る機種よりも少ない機能の製品が値下がりせずに売れている。

アウトドア・スポーツで火がついた
GoProの人気は、アウトドア・スポーツの愛好家から広がった。写真は、実際に撮影したスポーツの様子。左はフリー・クライミング、中央はオフロード・バイク競技。右はムササビのようなウイング・スーツを着用して断崖絶壁から飛び降りるスポーツ。(写真:GoPro)
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 この状況を見た大手カメラ・メーカーが、あわててアクション・カメラ分野に参入する動きがこの1年ほどで相次いだ。「『GoPro』は、もはや“ニッチ”ではない。存在を無視しては新しい製品を開発できなくなった」。ある大手カメラ・メーカーの開発責任者は、自身が受けた衝撃をこう語る。

 それでも、Woodman Labs社によれば、アクション・カメラ分野でGoProの市場シェアは約9割と、今のところ他社の追随を許していない。家庭用ビデオカメラとして捉えた場合にも、世界市場シェアは2割に達しているという。同社は売上高を公開していないが、GoProのグローバル・コミュニケーションやソーシャル・マーケティングを担当するSenior DirectorのKash Shaikh氏は「売り上げは、1年に3倍のペースで増えている」と胸を張る。「我々は、新しい分野を切り開いた。スポーツやドキュメンタリーの撮影で重宝されたことで急成長できた」(同氏)。

 ちなみに、GoProの日本代理店は、競技用自動車の企画開発に携わるタジマモーターコーポレーション。同社 会長兼社長の田嶋伸博氏は、「モンスター田嶋」として世界的に有名なラリー・ドライバーだ。米国のレースで撮影用に導入したGoProに感銘を受け、その足で販売交渉に向かったという。

 なぜ、GoProは新分野を築けたのか。この質問にShaikh氏は二つの理由を挙げた。