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太陽電池の直流電力から共鳴フィールドを形成した様子(写真:村田製作所)
太陽電池の直流電力から共鳴フィールドを形成した様子(写真:村田製作所)
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新開発の直流共鳴方式と従来の磁界共鳴方式の電力伝送の違い。電源と共振器の駆動方法が異なる(図:村田製作所)
新開発の直流共鳴方式と従来の磁界共鳴方式の電力伝送の違い。電源と共振器の駆動方法が異なる(図:村田製作所)
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 村田製作所は、ワイヤレス電力伝送システムの新技術として「直流共鳴(direct current resonance)」方式を開発した(ニュースリリース)。直流共鳴方式は、直流の電気エネルギーを電磁界エネルギーに変換し、「電磁界共鳴フィールド(electromagnetic resonance field)」と呼ぶ物理現象を用いて電力を伝送するもの。同社は1994年に国際学会で発表した「磁界共鳴」方式の先行研究をベースに、2009年から同志社大学との産学連携で研究活動を進めてきた。今後、スマートフォンやタブレット端末、電池で動作する小型電子機器や通信カードへの給電など、比較的電力の小さい用途での実用化を目指す。

 現行の磁界共鳴方式が交流電源からの電力を増幅し、受電側で直流に変換するのに対し、新方式は直流電源から直接、共鳴フィールドを形成するため、エネルギー変換効率を向上できる。また、従来は非接触で電力を伝送するに当たり、4~6回ほど電力変換が必要だったのに対し、新方式では電気エネルギーから電磁界エネルギーへ、1回での変換を目標としている。機器の小型軽量化や省エネが図れるとする。送受電デバイス、共鳴デバイスを工夫して共鳴フィールドを拡大すれば、複数負荷への給電なども可能になるという。

 村田製作所によれば、現行方式に対して優位な点は、磁界共鳴方式と比べ、構成がシンプルで機器を小型軽量化でき、システムの電力効率を高められること。電磁誘導方式と比べ、送電、受電の配置自由度が高く、重い磁性体(鉄)や巻線(銅)が不要なこと。電界結合方式と比べ、伝送距離を大きくしたいときに有利で、物理的接触はなくてもよいこと。無線電波方式と比べ、伝送電力が大きいことと、送電装置や送受電デバイスを小型にできること。

 村田製作所は、この直流共鳴方式に関して基本特許を含め、特許12件を出願済み、20件を出願準備中だ。今後は自社で比較的電力の小さい用途での事業化を目指す一方、電気自動車の充電など、電力の大きい用途については、オープン・イノベーションなどを活用し、技術支援やライセンス提供を行うことも検討していく。