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2013年6月25日にシャープの代表取締役社長に就任する高橋興三氏
2013年6月25日にシャープの代表取締役社長に就任する高橋興三氏
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 シャープは、2013~2015年度の中期経営計画を発表した。2013年5月14日夜に開催した説明会では、2013年6月25日に同社代表取締役社長に就任する高橋興三氏が登壇した。高橋氏は「当社の原点である“誠意と創意”をはじめとする創業の精神以外はすべてを変える覚悟で新生シャープを築き上げる」と力を込めた。

 シャープは今回の中期経営計画の対象期間である2013~2015年度のうち、初年度の2013年度を「再生」に向けた構造改革ステージ、2014年度と2015年度を再成長ステージと位置付ける。同社は2012年度下期に営業利益の黒字化を達成しており、2013年度には当期純利益の黒字化を目指す。2014年度に収益体質のさらなる強化、2015年度には売上高営業利益率5%の達成を狙うという。

 高橋氏は中期経営計画の基本戦略(中期経営計画で変えること)として、以下の3点を掲げた。第1に、「勝てる市場・分野」へ経営資源をシフトする。第2に、自前主義からの脱却、アライアンスの積極活用である。第3に、ガバナンス体制の変革による実行力の強化(有言実行の推進)だ。

 再生と成長を実現するための方策として、5つの重点施策も説明した。(1)事業ポートフォリオの再構築、(2)液晶事業の収益性改善、(3)ASEANを最重点地域とした海外事業の拡大、(4)全社レベルのコスト構造改革による固定費削減、(5)財務体質の改善である。

 このうち、(1)の既存事業ポートフォリオの再構築については、勝てる分野での勝負に徹する。規模がモノを言う「スケール市場」から、付加価値の追求が可能な「バリュー市場」へと軸足を移しながら、収益性を高める。従来、同社の主要な事業は、グローバルレベルの事業規模が競争を左右する「グローバル・スケール市場」で勝負してきた。しかし、今後は、顧客のタイプごとにグローバルに付加価値を追求できる「グローバル・バリュー市場」や、地域ごとのローカルフィットが必要になる「リージョナル・バリュー市場」を重点的に攻める。

 (2)の液晶事業の収益性改善に関しては、収益変動リスクを低減し、成長ドライバへの転換を図る。このための重点施策として、「付加価値ゾーンの強化」と「安定顧客との取引拡大による販売増」の2つを挙げた。前者については、IGZOや高精細タッチパネルなどの技術優位性を背景に、収益性が高く、収益変動リスクが低い付加価値ゾーンの強化を進める。後者では、大手重点ユーザーとの戦略的提携により、収益の変動性を低減しつつ事業拡大を図る。例えば、韓国Samsung Electronics社との戦略的アライアンスについては、現時点での成果として、大型液晶パネルの安定受注(亀山第2工場の稼働率向上)、本体出資104億円入金済み、電子デバイス事業での受注拡大、などがあるとした。

 (3)の海外事業の拡大に関しては、特にアジア地域を重点強化する。プロダクト事業における海外地域別の売上構成比で、アジア地域は2012年度には21%だったが、2015年度には31%に高める。このために、インドネシア、タイの生産拠点を核に最強のバリューチェーンを構築するという。

 (4)に関しては、徹底したコスト構造改革による損益分岐点の引き下げを進める。為替変動による採算性悪化などの影響も踏まえ、従来の延長線上にとどまらない抜本的なコスト構造改革を断行する方針である。このための主要施策として「本社部門のスリム化」、「人件費の抑制」、「国内・海外拠点の構造改革」の3つを挙げた。

 (5)については、棚卸資産の圧縮、有利子負債の圧縮とともに、設備投資の削減を進める。特に、液晶分野の投資抑制により、非液晶分野への投資を継続しながら、設備投資総額の削減を進める。工場投資から人・技術・マーケティングへの投資へのシフトを加速する。