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社長を退く奥田氏(左)と新社長に就任する高橋氏(右)
社長を退く奥田氏(左)と新社長に就任する高橋氏(右)
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 シャープは2013年5月14日に開催した取締役会で、代表取締役の異動と社長人事を内定した。現 代表取締役 取締役社長の奥田隆司氏が代表権のない会長に退き、現 代表取締役 兼 副社長執行役員 プロダクトビジネスグループ担当の高橋興三氏が新社長に就任する。現 取締役会長の片山幹雄氏はフェローに就任して経営から退き、技術指導や人材育成に専念する。この他、現 専務執行役員の方志教和氏が、代表取締役 兼 専務執行役員に就く。これらの人事については、2013年6月25日に開催する定時株主総会と取締役会で正式に決定する。

 シャープは5月14日に役員人事に関する緊急記者会見を東京都内で開催し、奥田氏と高橋氏が臨席した。奥田氏は会見の冒頭、「2012年度下期の営業黒字化を達成し、構造改革や資金繰りにもメドが付いたことで、経営再建の道筋が立てられる状況を迎えた。一方、希望退職の実施などによって従業員に重い痛みを強いていることを、経営者として重く重く受け止めている。これまでのシャープと決別して一刻も早く『新生シャープ』を作りたい。その区切りを今日付けたい」と退任の理由を語った。現 会長の片山氏からは、自ら退任したい旨の申し入れがあったという。奥田氏の後を継ぐ高橋氏については、「営業部門や海外部門などさまざまな部門を経験してきた。持ち前の強いリーダーシップを発揮して、新生シャープを作ってもらえると信じている」(奥田氏)と評した。社長就任からの1年余りについては、「経営再建に向けて最低限の責任は果たせた」(同氏)と振り返った。

 後任の高橋氏は、「4月下旬に突然、中期計画の達成を頼むと言われて本当に驚いた。今、我々の置かれている非常に厳しい状況のもと、社外からもサポートを受けていることや社員の頑張りを見て、私としてはこれ(引き受ける)しかない、全力で取り組もうと考えた。2012年4月に米国から帰ってきた後に、いろいろな(他社との)交渉を経験したが、世界のリーディング・カンパニーがシャープの技術に非常に期待しているということを実感した。我々の技術をさらに磨きつつ、再生と次なる成長を実現していきたい」と抱負を語った。

 高橋氏は今後の事業戦略の一つとして、「一対一の提携ではなく、違うファンクションを持つ複数の企業が、互いの強みを持ち寄って強い事業やサービスを作っていくことが大切」であるとし、異業種との協業を推進する方針を示した。同社は2013年5月14日付で、電動工具メーカー大手のマキタとの業務提携を発表したが、この提携もその方針に沿うものという(関連記事1)。

 高橋氏は1954年生まれの58歳。1980年にシャープに入社し、複合機の技術開発などを担当した後、2008年に執行役員 健康・環境システム事業本部長に就任。2010年4月に常務執行役員 米州本部長となり、米国から帰国した2012年4月からは、副社長執行役員 営業担当 兼 海外事業本部長や、現職の代表取締役 兼 副社長執行役員 プロダクトビジネスグループ担当などを務めた。

 なお、シャープが2013年5月14日に発表した2012年度通期決算は、売上高が前年度比0.9%増の2兆4785億円、営業損益が1087億円悪化の1462億円の赤字、純損益は同1693億円悪化の5453億円の赤字だった。同日発表した中期経営計画では、2013年度に当期純利益の黒字化、2015年度に売上高営業利益率5%の達成を掲げている(関連記事2)。