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図1●光ファイバ温度センサの仕組み
図1●光ファイバ温度センサの仕組み
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図2●炉内の耐熱レンガの予防保全
図2●炉内の耐熱レンガの予防保全
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図3●披露したデモシステム
図3●披露したデモシステム
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 横河電機が、工場事故の予防安全などに向けた光ファイバ温度センサを「第29回 プラントショー」(2013年10月30~11月1日、東京ビッグサイト)に出展した。光ファイバを対象物に敷設することにより、対象物の温度分布をリアルタイムに常時測定できる。製造業で導入が進んでいるビッグデータ活用の1つと位置付けられる。

 対象物としては、工場内の電源ケーブルや炉のほか、パイプラインなどを想定する。例えば、高温炉に適用した場合、炉内の耐火レンガの消耗度合を温度監視により判断し、損傷の発見や保守期間の最適化を図る。具体的には、炉内部の耐火レンガが消耗したり崩れたりすると炉の表面の温度が上がる。これを検出することで、炉の鉄皮が破れて大事故になるのを防げる。

 現状では、プラントを利用している企業は、炉内の耐火レンガが消耗する前に取り替えることで事故を未然に防ごうとしている。しかし、実際には例えば1年半使えるところを1年で取り替えているケースなどがあるという。光ファイバ温度センサなどを使えば、最適な交換時期を実データで裏打ちされた形で把握できるわけだ。耐火レンガなどの部品をギリギリまで利用することができるようになり、コスト低減につながる。今回の技術では、光ファイバの全長は6kmまで対応できるため、炉の鉄皮全体を1本の光ファイバでカバーできるという。光ファイバの1mごとの平均温度を測定できるため、6kmの光ファイバでは6000個のセンサを張り巡らすことができる。

 別の適用例として、例えばパイプラインでは、どこかで油の漏れなどがあるとその部分の温度が高くなる。この光ファイバ温度センサを適用すれば、大規模なパイプラインでも最長6kmまでの範囲で具体的な場所と温度の関係を測定できる。

 光ファイバによる温度検出の原理は以下の通り。光ファイバに接続した装置からレーザーのパルスを発すると、ファイバ中のさまざまなところで光が散乱する。この散乱光(後方ラマン散乱光)の強度が光ファイバの温度と相関関係があるため、後方ラマン散乱光の強度を測定することで対象物の場所ごとの温度分布が得られる仕組みである。光ファイバに接続した装置では、光を発する機能、光を検出する機能、検出した光を温度に換算する、という3つの主な機能を備える。光ファイバは細くて切れやすいので、温度センサとして利用する際には金属の保護管などに格納する。

 光ファイバを温度センサとして使う技術は、要素技術としては1990年ごろに発案されたが、ここにきて工業製品としての応用が確立されつつある状況。「日本ではプラントの老朽化が進んでおり、今後、光ファイバ温度センサへのニーズが高まってくる」(同社)とみる。