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左端の電池で4.5Vの電圧を印加した後の様子。CNTの直径は1.0nm、1.3nm、1.7nmで、いずれも下の層が半導体型、上の層が金属型である。
左端の電池で4.5Vの電圧を印加した後の様子。CNTの直径は1.0nm、1.3nm、1.7nmで、いずれも下の層が半導体型、上の層が金属型である。
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TASCなどが作製したCNTトランジスタのキャリア移動度とオン/オフ比。値にバラつきがあるが、低い値は、CNTインクの塗布技術のバラつきに起因することが分かっているという。
TASCなどが作製したCNTトランジスタのキャリア移動度とオン/オフ比。値にバラつきがあるが、低い値は、CNTインクの塗布技術のバラつきに起因することが分かっているという。
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 産業技術総合研究所は2013年10月31日~11月1日、茨城県つくば市で研究所公開イベント「産総研オープンラボ」を開催した。そこで産業技術総合研究所とNECなどは、単層カーボン・ナノチューブ(CNT)を半導体型と金属型に分離する技術「電界誘起層形成法(Electric-Field-Induced Layer Formation:ELF)」を実演した。

 ELFの基本原理は、電気泳動である。ガラスの容器に単層CNTと水と、分散剤として、Na+などのイオンを含まない高分子界面活性剤を加えた後、長さの異なる電極を使って4.5Vの電圧を印可する。すると1時間~十数時間で、水と油のように半導体型CNTのと金属型CNTに層分離する。これで、半導体型CNTの純度を95~98%以上にできるという。扱えるCNTの直径もおよそ0.9nm~2.1nmと広い。

 従来、単層CNTを半導体型と金属型に分離するには、超遠心分離機などを10時間以上も用いるなど多大なエネルギーとコストが必要だった。一方、今回のELFは、乾電池3個ほどで利用でき、極めて省電力、低コストで実現する。原点に還るような簡易な手法で高い分離精度を実現できるようになった。分散剤にNa+などのイオンを含まない界面活性剤を用いることで、CNTトランジスタの作製にも非常に適しているという。

 NEC、単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)と産業技術総合研究所などはこの手法で作製した半導体型CNTのインクを用いてCNTトランジスタを試作し、キャリア移動度10cm2/Vs前後、電流のオン/オフ比104を実現したことも明らかにした。