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CNB透明導電フィルムを用いて試作した3次元形状の投影型静電容量方式タッチ・パネルのデモ。右手で操作している右側の装置がタッチ・パネル。マルチタッチも可能である。
CNB透明導電フィルムを用いて試作した3次元形状の投影型静電容量方式タッチ・パネルのデモ。右手で操作している右側の装置がタッチ・パネル。マルチタッチも可能である。
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試作した3次元形状のタッチ・パネル。凸面状になっている。
試作した3次元形状のタッチ・パネル。凸面状になっている。
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右側のCNB透明導電フィルムを用いたタッチ・パネルの方が、左側のITO透明導電フィルムを用いた方に比べて、外光の反射が小さい。
右側のCNB透明導電フィルムを用いたタッチ・パネルの方が、左側のITO透明導電フィルムを用いた方に比べて、外光の反射が小さい。
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ノート・パソコン用途を想定して試作したタッチ・パネル。Canatu社は、モバイル機器、車載機器、家電などに使われる15型以下のタッチ・パネルを、CNB透明導電フィルムの用途として想定している。
ノート・パソコン用途を想定して試作したタッチ・パネル。Canatu社は、モバイル機器、車載機器、家電などに使われる15型以下のタッチ・パネルを、CNB透明導電フィルムの用途として想定している。
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Canatu社CEOのRisto Vuohelainen氏(右)と、同社VP, Marketing & SalesのErkki Soininen氏(左)。
Canatu社CEOのRisto Vuohelainen氏(右)と、同社VP, Marketing & SalesのErkki Soininen氏(左)。
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 タッチ・パネル用透明導電フィルムの開発・製造を手掛けるフィンランドCanatu社が、曲率半径1mmで曲げられる透明導電フィルムを開発、2014年に量産を開始する。透明導電材料として一般的に使われているITOの代わりに、「CNB(Carbon NanoBud)」と呼ぶ独自のカーボン系材料を用いることで、柔軟性を高めた。平面基板上に作製した透明導電フィルムを熱成形して、容易に3次元形状を実現できるという。CNBのBに当たる「Bud」は芽を意味する。CNBは、カーボン・ナノチューブ(CNT)の外側にフラーレン(C60)が芽のように付いた分子構造を持つ。

 CNBを透明導電フィルムに用いたタッチ・パネルは、柔軟性の他に、ディスプレイに取り付けたときの視認性やコスト競争力の点で「ITOフィルムに比べて優位性がある」と、Canatu社は主張する。

 視認性については、例えば次のように説明している。ITO電極を用いたOGS方式タッチ・パネル付きのディスプレイに比べて、反射率が1/3に低減するという。CNBの屈折率は、フィルムの基材となるPETや、他の部品に取り付けるための接着剤「OCA」とほぼ同じであり、界面での反射がほとんどない。さらに、フィルムの透明性に関する指標であるヘイズも、CNBは0.15%と小さい。この結果、低反射を実現できるという。反射率が低いため、明るい屋外でも高コントラストのディスプレイ表示を実現できる。

 コントラストが高くなると、バックライト輝度を落としても視認性が確保できるため、ディスプレイの低消費電力化にも有効であると、Canatu社は言う。日本の顧客の協力によって、ITO電極とCNB電極のそれぞれを用いたタッチ・パネル付きのディスプレイで電池寿命を比較したところ、CNBを用いた方が電池駆動時間を17%延ばせたとする。

 コスト競争力については、まず上述の高い視認性が寄与するという。明るさやコントラストを稼ぐための光学フィルムを減らせるからである。また、CNBを用いた透明導電フィルムの生産プロセスは、スパッタリング法を用いるITOフィルムに比べると単純である。フィルム基板上に大気中で直接、ガス状のCNB材料を吹き付けて印刷するエアロゾル印刷法によって製造できる。ロール・ツー・ロールにも対応する。

 同社は今後、タッチ・パネル市場に本格的に進出する構えだ。現在は、フィンランド・ヘルシンキのパイロット・ラインで少量生産している。2014年第2四半期には新工場を開設し、同年末までに稼働させる計画である。場所はフィンランドまたは東アジア(日本、中国、台湾、韓国)、生産能力は15万m2/月を想定している。現在、新工場立ち上げの資金調達のために投資家との交渉を進めているという。

 さらに、2015~2016年の量産開始に向けて、アジアの顧客との間で合弁製造会社を設立したい考えだ。生産能力は30万m2/月を想定している。生産能力を増強するとともに、セカンド・ソースを望む顧客の要望に応えていくとする。この他、CNB透明導電フィルムを用いてタッチ・パネルを製造する“後工程”のノウハウをライセンス供与する計画も持つ。

■変更履歴
記事掲載当初、下から2番目の段落で「スウェーデン・ヘルシンキ」とあったのは「フィンランド・ヘルシンキ」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。