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 九州大学などの3大学と住友化学は、Na(ナトリウム)イオン2次電池を共同で試作し、充放電挙動を確認した。九州大学 先導物質化学研究所は電池の正極材料を、住友化学 筑波開発研究所は負極材料を、山口大学と日本大学は電解液の開発をそれぞれ担当。技術を持ち寄ってNaイオン2次電池のプロトタイプを開発した。

 2014年2月25日に東京都千代田区で開催された「元素戦略/希少金属代替材料開発 第8回合同シンポジウム」で明らかにした。文部科学省・科学技術振興機構(JST)が推進する元素戦略プロジェクトのテーマとして実施した研究の成果である。

 電気自動車などの普及が本格化し、Li(リチウム)イオン2次電池の需要が急激に増えると、Li資源の採掘能力が需要に追いつかなくなる可能性がある。このため、Liイオン2次電池の需要を補完するものとして、Naイオン2次電池の開発に関心が集まっている。ただ、NaイオンはLiイオンに比べてイオン半径が大きいため、これに適した正極・負極材料や電界液などの要素技術の模索が続いている段階だ。

研究が進展すれば、Liイオンよりも安価な電池の可能性も

 今回の共同研究で九州大学はCo(コバルト)などのレアメタルを含まない正極材料を探索し、有力候補材料としてNa3V2(PO42F3など数種類の正極材料候補についてNaイオンの挙動を調べた。

 負極材料を担当した住友化学は、多孔性の難黒鉛化炭素材料として「C1600」と呼ぶハードカーボンについて調べた。これは1600℃で熱処理した炭素系材料で、同社は300mAh/gの充放電動作におけるNaイオンの可逆性を確認した。金属ナトリウムの析出もないという。

 山口大学と日本大学は、非水溶媒イオン液体を混合した電解液の研究開発を担当した。「NaTFSI」というイオン液体塩を用いたプロピレンカーボネート混合系電解液などで、C1600を負極材料に用いた際のNaイオンの充放電動作を調べた。

 九州大学などは、これらの正極と負極、電解液を用いた電池構成で60mAh/gでの室温・可逆反応を確認した。

 さらに、正極材料としてNaFe0.4Mn0.3Ni0.3O2、負極にC1600、非水溶媒イオン液体を混合した電解液による電池を構成し、ラミネートセルでの200%過充電耐性試験を実施。破裂・発火現象が起こらないことを確認したという。

 九州大学 先導物質化学研究所は、今回の成果を進めて水溶液系の電解液を用いたNaイオン2次電池を実用化できれば、「電池のセパレーターをポリプロピレンから不織紙に、負極の集電板材料を銅箔からAl(アルミニウム)箔に、正極材料を安い鉄系に切り替えられる可能性が高まる」と説明している。これにより、「Liイオン2次電池よりも低コストなNaイオン2次電池が登場する」という。