日立製作所と日本イーライリリーは、放射性医薬品合成設備の日本国内における販売契約を締結した(リリース)。この設備は、アルツハイマー型認知症に関係する「アミロイドβ」の蓄積をPET検査で可視化する「florbetapir(18F)注射液」を医療機関で合成するために用いられる。日本イーライリリーが2014年7月3日に医療機器製造販売承認を取得した。日立は同設備を同年9月9日から販売するとともに、導入から運用までを支援していく。
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も発症頻度が高いとされる。その原因の1つとして、アミロイドβと呼ぶたんぱく質の脳内への異常な蓄積(アミロイドβプラーク)が指摘されている。日本国内では従来、脳内のアミロイドβプラークを可視化するための薬剤、およびその薬剤を合成する装置は承認・販売されていなかった。
今回、日本イーライリリーが放射性医薬品合成設備「NEPTIS plug-01」の医療機器製造販売承認を取得。これを日立が発売することで、日本でも脳内アミロイドβプラークの可視化が可能となる。ただし、医療機関での運用開始までには、同設備の導入決定後に相応の準備期間が必要になるという。
日立はこれまでも、PET支援サービスを通じて、PET用放射性薬剤の合成環境構築や合成支援を行ってきた。特に、治験・研究用の新しい薬剤合成に関しては、日立が構築した製造環境で医療機関とともに高い成功率を実現してきたという。一方、日本イーライリリーを含む米Eli Lilly and Companyは、認知症の研究を25年にわたり継続しており、認知症の診断から治療までの幅広いパイプラインを持つ。両社は今後、設備の拡販やそれに付随するサービスを相互補完的に提供していく。