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デミング賞本賞を受賞した、電気通信大学大学院情報理工学研究科総合情報学専攻教授の鈴木和幸氏。
デミング賞本賞を受賞した、電気通信大学大学院情報理工学研究科総合情報学専攻教授の鈴木和幸氏。
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 日本科学技術連盟のデミング賞委員会は2014年10月7日、2014年度(平成26年度)のデミング賞各賞の受賞者を決定した(ニュースリリース)。デミング賞本賞は、電気通信大学大学院情報理工学研究科総合情報学専攻教授の鈴木和幸氏が、デミング賞普及・推進功労賞(海外)は、タイSiam Cement Group(SCG)社の社長兼CEOのKan Trakulhoon氏が受賞した。

 デミング賞本賞の鈴木氏は、電気通信大学教授として信頼性工学の研究に専念し、ワランティーデータ解析の分野を切りひらくなど,世界的レベルで学界をリードする業績を挙げてきた。日本品質管理学会会長,日本信頼性学会会長,政府の信頼性・安全性関係の各種委員を歴任し,これらの活動を通じて信頼性工学のTQM(Total Quality Management)への適用の拡大・深化を図り,安全・安心な社会の構築,研究・教育,普及・啓発を担う人材育成とその推進組織作りに貢献した。

 同普及・推進功労賞(海外)のKan Trakulhoon氏は、1990 年代初めにSCG社がTQM導入した際に来日して研修に参加し,以来20年余に渡ってTQMを利用した経営を行ってきた。2006年の社長昇格後,イノベーションとともに人材育成に注力し、傘下9社がデミング賞を受賞。2013年には売上高1.34兆円,税引後利益1100億円を実現し、講演や委員会活動を通じて,国内外のTQMの普及にも貢献した。自らの企業経営で日本のTQMの有効性を示し国際的評価を高めたことも受賞理由となった。

 応募した企業・組織について審査し、授賞を決定するデミング賞(2011年まではデミング賞実施賞)は、米GC America社、セキソー(本社愛知県岡崎市)、インドMahindra & Mahindra社が受賞した。

 GC America社は、ジーシー(本社東京)のグループ企業として1992年に米国で設立された企業で、歯科材料の製造・販売を行っている。歯科材料の売り上げは、主に審美性という地域・文化に左右される特性に依存する。この課題に対応するためTQMを導入し、顧客の声に重点を置く体系的なマーケティングと新製品の開発、ITを活用した営業活動を行ってきた。その結果、売上成長率と営業利益率の向上、新製品上市数の増大、顧客と従業員の満足度向上、改善活動数の増大などの成果を挙げた。

 セキソーは、自動車用消音ダクトやボディ用消振・消音シートなど、車の音・振動対策用内外装部品の設計・製造会社である。「顧客指向で環境変化に対応できる企業体質」への変革をめざしてTQMを導入し、ブランドの確立,人づくり中心経営,経営トップ層の機動的運営による戦略経営を推進してきた。その結果、音にこだわる新製品の売り上げを3倍に増やす見通しをつけ、また人財の能力向上と仕組みの整備も相まって、技術力とマネジメント力を強化し、売り上げと利益の向上を実現している。

 Mahindra & Mahindra社のMahindra Powerol 事業部はオフグリッド発電装置の製造・販売・サービスの企業で、MahindraグループのAutomotive & Farm Equipment Sector(自動車・農業機械事業)のAgri & Allied Businesses(農業とその関連産業事業)の下に、2002年に設立された。テレコム市場の急激な縮小という経営危機に直面し、リーンアセットモデルの採用とTQM による顧客要求への迅速な対応、顧客要請を先取りする企業体質への変革に取り組んできた。その結果、新しい製品と技術の開発などを展開、売上高に占める新製品の割合を着実に向上させ、海外を含む新規市場にも進出している。

 なお、2014年のデミング賞大賞(2011年までは日本品質管理賞)の受賞はなかった。