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 1993年に日亜化学工業が青色LEDを発売する前、多くの技術者たちによる窒化ガリウム(GaN)系半導体結晶を得るための努力があった。このGaN系青色LEDの開発の歴史において極めて大きな足跡を残したと言えるのが、名城大学教授の赤崎勇氏と天野浩氏(現名古屋大学教授)のグループである。
 約10年前、いわゆる中村裁判を受けて、青色LEDの開発過程を検証するための取材の一環として天野氏にインタビューをした内容を基に、赤崎氏と天野氏の業績を改めて明らかにしておきたい。

 1993年に日亜化学工業が青色LEDを発売して以来、ある時期まで青色LEDは同社が開発したと世間に思われてきた。だが、名古屋大学教授の天野浩氏は「青色LEDの製品化には、多くの先人たちによる窒化ガリウム(GaN)系半導体結晶を得るための技術と執念の積み重ねがあった」と語る。

 そして、このGaN系青色LEDの開発の歴史で、極めて大きな足跡を残したのが、名城大学教授の赤崎勇氏と天野氏のグループである。例えば、赤崎氏が2001年度に受賞した応用物理学会業績賞では、その受賞理由としてこうした文言が見られる。「GaN系窒化物半導体材料とデバイスの研究・開発は、赤崎氏とそのグループの研究がすべての出発点である。すなわち、低温緩衝層技術の開拓により、格段に高品質な結晶の成長に成功し(1986年)、それまで不可能とされていたp型伝導の実現とn型伝導度制御の達成(1989年)、さらにpn接合青色発光ダイオードを実現(1989年)したこと等である」。

* この技術を確立したのは1985年で、発表したのが1986年。

 なお、青色LEDの発明を語るとき、GaN系青色LEDばかりを取り上げるが、それは現在実用化されている青色LEDの原型という「暗黙の前提」があるからだ。青く光るLEDという概念であれば、GaN系青色LEDよりも先に、炭化ケイ素(SiC)系青色LEDがこの世に誕生している。だが、このSiC系青色LEDは光出力が弱く、青色LEDの次に研究者の多くが目指した青色半導体レーザーの開発にもつながらないと判断されたため、今では特に断らない限り、青色LEDといえばGaN系青色LEDを指すようになっている。

 赤崎氏と天野氏のグループが高く評価されているのは、多くの研究者が見放したGaNという材料にこだわり続け、その努力をきちんと青色LEDの実現に結びつけたからだ。