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図1●既存の血圧測定法 右端は中村祐一氏。日経エレクトロニクスが撮影。スクリーンはNECのスライド。
図1●既存の血圧測定法 右端は中村祐一氏。日経エレクトロニクスが撮影。スクリーンはNECのスライド。
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図2●今回の測定法の基本 スクリーンはNECのスライド。
図2●今回の測定法の基本 スクリーンはNECのスライド。
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図3●低圧迫で測定可能 スクリーンはNECのスライド。
図3●低圧迫で測定可能 スクリーンはNECのスライド。
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図4●十分な測定精度を確保 スクリーンはNECのスライド。
図4●十分な測定精度を確保 スクリーンはNECのスライド。
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図5●左が既存装置を装着、右は今回の技術による試作装置を装着 既存装置は本体(腰)とハブ(腕)に分かれ、その間をケーブルでつなぐ。試作装置は本体とハブの一体型。
図5●左が既存装置を装着、右は今回の技術による試作装置を装着 既存装置は本体(腰)とハブ(腕)に分かれ、その間をケーブルでつなぐ。試作装置は本体とハブの一体型。
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 NECは、HDD(hard disk drive)の診断で培った技術を応用して、新たな血圧測定技術を開発した(ニュースリリース)。既存の手法に比べて測定箇所を圧迫する力が弱く高精度測定が可能なため、被測定者の負荷を軽減できる。測定機器の小型化も可能で、例えば、24時間連続の血圧測定を従来よりも軽負荷で行えるようになる。

 血圧は人の健康状態を見る上で最も基本的な情報の1つである。外来診療では血圧は1日1回しか測っていないことが多いが、血圧は時間によって変動するため、人の状態を見るという意味では24時間測定が望ましいケースが少なくない。

 NECが2014年10月15日に都内で開いた記者発表会に登壇した同社の中村祐一氏(グリーンプラットフォーム研究所 研究所長)によれば、現在一般的に使われている血圧測定方法では、血液の流れを音で判断する必要がある(図1)。例えば最高血圧は、測定点を圧迫して血液の流れを一旦止め、その後圧迫を緩めて血流が再開した音を聞いて測る。止めるには最大180~200mmHgほどの力を加える必要があり、痛みやしびれを引き起こすことがある。24時間測定など、1日に何度も測定するケースでは、被測定者の大きな負荷となっていた。

 今回は、血管の振動波形から血流再開音/全開音を検出することにした(図2)。この測定方法は、横浜市立大学医学部特任教授の朽久保 修氏の理論に基づくという。音から振動波形へ検出する対象は変わったものの、このままでは、かなりの圧力を測定時に加えないといけない。そこで、NECはHDDの診断技術を応用した。振動波形からHDDの状態を推定して、故障を事前に察知したりする技術である。

血管の振動波形を見る

 今回は、次のようにして血圧を求める(図3)。すなわち、弱い圧迫時の血管振動波形を取得する。この波形は雑音が多いのでフィルタを通す。きれいになった波形と、最高血圧の波形を比べて、最高血圧を推定する。HDD診断技術を応用したことで、低圧迫で済むようになったことが特徴である。NECが試作した装置を使った事例では、最大圧迫を約60mmHg低減できた。また、測定精度も高かったという。医療認可基準の約1/30の規模で行った評価では、同基準である平均誤差5mmHg±標準偏差8mmHgを満たしていた(図4)。

 圧迫する力が弱くて済むため、小さなモーターを使えるようになり、測定装置全体を小型化できる。NECが今回試作した装置は約250gで、既存装置の450gよりもかなり軽くなった。この装置は圧迫部(カフ)と本体が一体になっている。一方で説明会で見せた既存の装置は本体とカフが分かれていて間をケーブルでつなぐタイプで、使い勝手の面でも今回の装置は勝るとの説明だった(図5)。

 NECは今回の技術を使った血圧測定装置を自ら製品化する予定はなく、製品化・販売を担うパートナーを探す。一方で、今回の技術で作られた装置から得られる血圧値は、いわゆるビッグデータの1つであり、NECの主力事業に関係するとした。