トリナ・ソーラーのピエール・ヴェルリンデン副社長(出所:日経BP)
トリナ・ソーラーのピエール・ヴェルリンデン副社長(出所:日経BP)
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トリナ・ソーラーの両面ガラスの太陽光パネルの裏面側(出所:日経BP)
トリナ・ソーラーの両面ガラスの太陽光パネルの裏面側(出所:日経BP)
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――両面ガラスの太陽光パネルでは、厚さ2.5mmのガラスを両面に使っている。既存の3.2mmのガラスに比べれば薄いものの、両面で合計5.0mmとなることで、重さが増して施工性が悪くなる。より薄いガラスを選ぶことも、可能だったのではないか。

ヴェルリンデン 施工性を考えると、できるだけ薄いガラスを使うのが理想だが、二つの理由によって、2.5mm厚のガラスを両面に使うことにした。一つは、信頼性である。

 トリナ・ソーラーでは、架台への設置後に、地盤沈下などの影響で太陽光パネルが変形したり、最大2mの積雪による重さや、風速140km/hの風による風圧を想定した荷重試験など、さまざまな試験を実施して両面ガラスのパネルを開発した。

 例えば、架台の変形によって、開発した両面ガラスのパネルが150mmの深さまで凹む状態が、約1週間続いても、ガラスが割れたり、太陽電池セルにマイクロクラック(微小な割れ)が発生する可能性は、ほぼ0%に抑制できた。

 最大2mの積雪や風速140km/hの風圧を想定した、パネルの表面に5400Pa、裏面に3600Paの負荷をかけるといった試験の結果からも、ガラスが割れたり、太陽電池セルにマイクロクラックが発生する可能性は、ほぼ0%に抑えられている。

 しかし、ガラスの厚さを2.5mm以下に薄くした場合、ガラスの耐久性は満たせるかもしれないが、マイクロクラックが発生する可能性があることがわかった。

 こうした信頼性の面が、ガラスの厚さを2.5mmにとどめた理由の一つである。

 もう一つの理由は、コストである。厚さを従来の3.2mmから2.5mmに変えるだけでも、ガラス1枚当たりのコストアップ要因になっている。ただし、既存の太陽光パネル用のガラスの製造プロセスで量産でき、コストの増加は一定の範囲にとどまっている。

 両面ガラスのパネルでは不要になる、従来のバックシートやアルミ製フレームのコストも高いので、2.5mmのガラスのコストと相殺され、パネルのコストに与える影響は小さい。

 さらに薄厚のガラスは、化学強化を施した、従来とは違う製造プロセスのガラスとなる。より高コストになる上、製造できるガラスメーカーは、世界に1~2社しかない。より多くのガラスメーカーが、このガラスを量産し、低コストで入手できるようになり、パネルの信頼性も満たせるようになることを期待したい。

――将来的に、両面ガラスのパネルに、両面受光式の太陽電池セルを使えば、パネル価格は高くなっても、発電量を増すことで、LCOEを下げられるのか。

ヴェルリンデン 両面受光式の太陽電池セルのコストが安くなれば、可能かもしれない。トリナ・ソーラーでも、両面受光式の太陽電池セルを研究中で、パネルとしてはまた開発できていない段階だが、将来は適用できるかもしれない。

 両面受光式の太陽光パネルには、セルのコスト以外にも、いくつかの課題がある。例えば、ジャンクションボックス(パネルから電力を出力する装置)を取り付ける位置である。

 既存の太陽光パネルは、裏面では発電しないために、裏面のセルを覆う位置に取り付けているが、両面受光式のセルを使った場合、ジャンクションボックスが覆っているセルは、発電量が減ってしまう。

 また、架台への設置方法も変える必要が出てくる。既存の太陽光パネルは、周囲を覆うアルミフレームを、ボルトなどを使って架台の鋼製レールに固定している。

 多くの架台は、固定用の垂直方向のレールのほかに、架台の強度を維持するために、太陽光パネルの裏面側に、横方向のレールも組み合わせている。裏面受光型のパネルを、現在の架台を使って設置すると、主に横方向のレールが、裏面側ではセルを覆う影になってしまい、パネル内で均一に発電できなくなる。

 このように、両面受光型のパネルは、ポテンシャルは高いものの、コストに見合った効果が得られるように、コストの低下以外にも、技術的課題を解決していく必要がある。