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がん患者の尿に反応
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線虫が引き寄せられる
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線虫の嗅覚は「犬並み」

 がん患者は特有の匂いを発することが知られている。「がん探知犬」が研究されているのはそのためだ。研究グループは今回、この匂いを識別する生物として「C.elegans」と呼ぶ線虫に着目した。線虫は嗅覚に優れた生物で、犬と同等の約1200種の嗅覚受容体を持つという。

 研究グループはまず、がん細胞の培養液に対する線虫の反応を調べた。この結果、がん細胞の培養液に対して誘引行動(引き寄せられる行動)を示すことが分かった。この行動は、正常細胞の培養液に対しては見られず、嗅覚異常を引き起こさせた線虫(変異体)では見られなかった。すなわち、がん細胞に特有の分泌物の匂いに線虫が反応していると考えられた。さらに、がん患者のがん組織と正常組織を比べると、がん組織の方を好むことが分かった。

 次に、人間由来の試料に対する線虫の反応を調べた。試料には血液に比べて検査が容易な尿を選択し、がん患者の尿20検体と健常者の尿10検体について、線虫の反応を調べた。その結果、すべてのがん患者の尿に誘引行動を示し、すべての健常者の尿には忌避行動を示した。

 がん患者の尿に対する誘引行動は、嗅覚神経を破壊した線虫では起こらなかった。加えて、線虫の嗅覚神経は、がん患者の尿に対して有意に強く反応した。これらの結果から、線虫は尿中のがんの匂いを感じていると考えられるという。ステージ1のがんにも反応したことから、早期がんを発見できる可能性も示唆された。