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 半導体業界の中で飛び抜けた好業績を続ける米Linear Technology社の強さに迫った本連載。連載1回目は“業界初の技術”の開発に着手することを常に実行していること、同2回目は長期的な視野で製品企画を立てており、短期での投資回収とは距離を置いていることに着目した。連載最終回である今回は、同社Chief Exective Officer(CEO)のLothar Maier氏に、同社の特異性や同社が注力する産業機器向けや自動車向け市場の魅力を聞いた。(聞き手は、大久保 聡)

――Linear Technology社は「変わった会社」という指摘をよく聞く。

Maier氏 確かに、我々は半導体業界でとてもユニークな会社だ。他に当社のような会社は見当たらない。特異性はいくつかある。代表的なのは、我々は長期的な視野で製品設計しており、そして長期間にわたって販売し続けることだ。製品を発売してから10年、15年、20年も売り続けている製品は珍しくない。現に、当社製品の第1号であるオペアンプ「LT1001」も現役の製品だ。

 長期間売ることを考えているので、才能ある人材を確保したり、リソースを開発に振り向けたりできる。従業員は仕事にやりがいを抱いており、勤続期間が10年を超えることは珍しくない。

 我々は、アナログ半導体市場にのみ注力し、かつ業界初の新製品を作り出すことにこだわっていることもユニークに映るだろう。当社は、他社の製品をまねするようなものは出さない。セカンドソース製品も出さない。ユニークな製品づくりに常に挑んでいる。

――Linear Technology社は何年にもわたり、営業利益率が40%を超えている。

Maier氏 収益率が高くあることも重視している。我々がフォーカスする分野は狭い。だが、他社に比べて高い収益性を維持しており、成長率も高い。2008年秋の「リーマン・ショック」のときでさえ、営業利益率は40%近くあった。

 利益率の観点からのみ、特定市場のマーケットを狙っているのではない。ビジネス環境が悪化しない市場にフォーカスしているのだ。6カ月ごとにデザインウィンを重ねなければならない民生機器向けビジネスとは、距離を置いている。現在は、産業機器と自動車向けのアナログ半導体市場に注力している。

 当社は2005年から2007年にかけて民生機器向けのアナログ半導体市場から撤退し、産業機器や自動車向け製品に注力していった。当時、投資業界は我々の判断を“クレイジー”だと評した。民生機器市場は急成長しているのに、撤退するとは何事だという見方だ。民生向け撤退を判断した当時、当社の売り上げ比率に占める自動車向けは相対的に小さかったことの影響もあった。だが今では、Linear Technology社の売り上げに占める産業機器や自動車向けの比率は小さくない。