アンシスジャパン(本社東京)は、このほど出荷を開始したCAEツール「ANSYS」の新版(バージョン16.0)での流体解析、構造解析、電子回路シミュレーション・電磁界解析それぞれのバージョンアップ内容を明らかにした。既にユーザーへの説明を始めている。

液面などの界面を精度高く再現

 流体解析ツールの「ANSYS Fluent」では、海面を進む船体周りの水流など、自由界面(空気と海水の境界に当たる海面)があるときの解析精度を向上した。海面とメッシュの境界は普通は一致しないため、海面に当たるメッシュには空気と海水をそれぞれ50%含むような状況になる。この状況の拡散を水平方向のみに許し、上下方向については抑制する機能を設けることにより、海面がぼやける(空気と海水を両方含むメッシュが上下に重なる)ことを防ぎ、解析精度を向上させる。

 さらに、燃焼や化学反応の計算時間を短くするため、3D空間で数値積分によってシミュレーションする機能を、化学反応の内容を直接表す数式で計算する機能に置き換えられるようにした。3Dモデルにおいてユーザーが温度、化学種などを指定すると、ツールが発生する化学反応を数式に表現し直し、計算量を節約する。

 ターボ機械向けに、羽根車を360度全部ではなく80度分で代表させて解析精度を維持できる機能を加えた。軸に生じる振動を構造解析ツール「ANSYS Mechanical」と連携して解析することも可能にした。

 大規模並列計算の普及に応じて、1万コア以上の並列計算での効率を向上し、コア数の80%程度の計算スピードを得られるようにした。さらに高速化を受けて、計算負荷の大きな流体解析においてもある程度の繰り返し計算による最適化機能を利用可能にしている。最適化機能自体は以前のバージョンから設けていたが、バージョン16.0では計算回数を節約して早く最適解にたどり着けるようにする改良を加えた。