ベストミックスでは、太陽光は64GWを見込んでいる(出所:経済産業省)
ベストミックスでは、太陽光は64GWを見込んでいる(出所:経済産業省)
[画像のクリックで拡大表示]

 経済産業省は6月1日、総合資源エネルギー調査会・長期エネルギー需給見通し小委員会・第10回会合を開き、2030年時点の望ましい電源構成(ベストミックス)案を含む、「長期エネルギー需給見通し」(案)を公表した。「再生可能エネルギーの比率22~24%」「原子力の比率22~20%」などの4月28日公表された電源構成案が、概ね了承された(関連記事)。
 
 「長期エネルギー需給見通し」に関しては、5月26日の第9回会合で、「たたき台」が示されたものの、橘川武郎委員(東京理科大学イノベーション研究科教授)、河野康子委員(全国消費者団体連絡会事務局長)、高村ゆかり委員(名古屋大学大学院環境学研究科教授)が連名で、「原発比率が過大で、再エネ比率が不十分」との意見書を連名で提出するなど、たたき台に対する修正意見が多く、まとめきれなかった経緯がある。

 6月1日の第10回会合で示された事務局案は、文言の一部が修正されたものの、電源構成の比率は変更しなかった。このため、橘川委員は、明確に「反対」の意思を表明した。ただ、ほかの委員は、概ね了承するとの意見が多く、坂根正弘委員長(小松製作所相談役)に最終的な修正を一任する形で決着した。

 事務局案では、再エネの固定価格買取制度(FIT)の評価に関し、「再エネ導入推進の原動力となっている一方で、特に 太陽光に偏った導入が進んだことや国民負担増大への懸念を招いたこと、電力システム改革が進展すること等も勘案し、再エネの特性や実態を踏まえつつ、再エネ間のバランスの取れた導入や、最大限の導入拡大と国民負担抑制の両立が可能となるよう制度の見直しを行う」との表現となっている。今後、法改正を含むFITの見直しが検討される可能性が高い。

 電源構成案では、2030年度における太陽光の導入量を「64GW」と見込んでいる。現在のFIT制度では、事前に想定した導入量に政策的に誘導しにくいことから、ドイツで導入が検討されている入札制を組み合わせた買取制度なども議論される可能性がある。

 高村委員は、同小委員会の場で、「電源構成で決まった再エネの導入量が、一種のシーリング(天井)として運用されるのではなく、最低限の普及量と位置づけ、FITの枠外も含めてさらなる導入を目指す促進策を期待する」との意見を述べた。普及余地の大きい太陽光の「64GW」が、導入の上限であるのか、さらなる普及を前提にした通過点なのか、今後、FIT見直しのなかで、再び大きな議論になりそうだ。