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Intel社が非ノイマン型に手を掛けた


 筆者は、2014年末にAltera社のPresident, CEO, and ChairmanであるJohn P. Daane氏の話を伺う機会を得た。その時の取材テーマは、2014年の事業総括と2015年の展望という毎年恒例のものだった。奇しくも、米国半導体協会(SIA)最高の栄誉であるRobert N. Noyce Awardの受賞が決まった直後の同氏がその時に語った内容は、7割方データセンターについてであった。

 これまでFPGAは、電子システムの中で、開発時の試作用チップとして、また主な半導体チップ同士のつなぎ役として、どちらかと言えば裏方仕事をしてきた。しかし、その時のDaane氏の話は、「Altera社のFPGAが、Intel社のマイクロプロセッサーのコ・プロセッサーとして、初めてデータセンターのサーバーにデザインインされた。データセンター向けチップとしてのFPGAの筋の良さを証明するものだ」とコンピューティングの表街道を歩み始めた自信と高揚感に満ちたものだった。

 2015年1月に、日経BP半導体リサーチのコラム、SCR大喜利において、「突然訪れた非ノイマン型コンピューターの時代」をテーマにマイクロプロセッサーを中心に据えたノイマン型コンピューターの行く末について議論した。この時の回答者の一人である慶應義塾大学の田口眞男氏は、「非ノイマン型の風はFPGAへと吹いているように見えてならない。これまでノイマン型のメリットを最大限享受してきたのはIntel社である。今後、どうFPGA戦略を構築して行くのか注目される」としていた(参考記事)。そして記事校正時の私信の中で同氏と、Intel社によるAltera社の買収の可能性について議論した。田口氏の見方は、「十分あり得る」というものだった。こうした私信の内容を踏まえて、同氏の回答記事に「寵児FPGAに接近する黄昏の巨人の思惑」というタイトルをつけた。今思えば、状況証拠から今回の買収を事前に予測していた人は、意外と多かったのではないか。

 Intel社がFPGAを得たことは、同社が非ノイマン型コンピューターの進化に寄与する足がかりを得たということだ。この点は、歴史的な意義さえ感じる。同じくSCR大喜利の回答者である某半導体メーカーの清水洋治氏は、「強い半導体メーカーがM&Aに走り始めた理由」をテーマにした議論の中で、「買収を仕掛けた企業は、買収された企業の優れたDNAを、広げる義務がある」とした(参考記事)。技術開発、そして応用開拓において数々の実績を残してきたIntel社の手で、FPGAをどのように磨き上げ、浸透させていくのか。期待しないではいられない。

■変更履歴
3ページ目の最終段落の冒頭でMicrosoft社の表記が間違っておりました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2015/6/3 14:20]