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 富士通研究所は、遠隔地からファイル共有サーバーを利用する際に、ファイルアクセスをソフトウエアで高速化するデータ転送高速化技術を開発した(ニュースリリース)。同技術で開発したソフトウエアをサーバーとクライアントにインストールするだけで、既存のファイル共有システムのファイルアクセスを最大20倍高速化することを、社内実験で確認した。

図1●ファイル共有システムによるファイルダウンロードの概要
富士通研の図。
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 ファイル共有は、ネットワーク上のサーバーにファイルを保存し、複数のクライアントが同じファイルを共有する仕組みである。企業は情報共有やドキュメント管理などに利用しており、従来は拠点ごとにファイル共有サーバーを設置することが多かった。富士通研によれば、最近は、情報の一括管理によるセキュリティーの向上や運用コスト低減のためにサーバーの集約が進み、遠隔地からファイル共有サーバへアクセスする機会が増えている。

 現在、ファイル共有システムでは、CIFS(Common Internet File System)やSMB(Server Message Block)といった通信プロトコル(ファイル共有プロトコル)が広く利用されているが、ネットワーク遅延の影響で遠隔地からのファイルアクセスに時間がかかるという課題が顕在化しているという。このため、ファイルアクセスの高速化が求められるようになった。

 すでに富士通研は、遠隔地間のデータ転送を高速化する技術として、「一度送信したデータを2回目以降省略して高速化する重複除去技術」を開発している。この技術は多様な通信環境に適用できるものの、ファイル共有プロトコル(CIFS、SMB)特有の処理があるため、効果が限定的だった。また、高速化の手段として回線の増強や専用ハードウエアを導入する方法もあるが、コスト負担が大きいという課題や専用ハードウエアを導入しても数Kバイト程度の小容量なファイルを大量に転送する場合は、それほど速くならないという課題があったとする。

 富士通研によれば、ファイル共有プロトコル(CIFS、SMB)特有の処理と課題は以下のとおりである。多数のファイルを含むフォルダーのコピーでは、ファイルごとに属性情報やファイル取得の通信が発生するため、遅延が大きいネットワーク環境でフォルダーを転送すると各通信の遅延が累積して遅くなる(図1)。

 一方、比較的大きなサイズのファイルを転送する場合、転送するファイルを数十Kバイトといった小さなデータに分割して、各データにヘッダー情報を付加する。このヘッダーは毎回変更される情報であるため、過去に同一のデータを転送したことがあっても異なるデータに見えるため、重複除去が効かないことがある。