PR

新興国の問題解決を目指し、新興国の若手技術者が立ち上がる

 研究開発分野では、ベトナムHCMC University of Technology and Education, Director of Digital Learning CenterのNguyen Ba-Hai氏とローム LSI商品開発部 パワーマネジメントLSI商品開発部 統括課長の山本勲氏が登壇した。

 Nguyen氏はイノベーションを起こすために必要な心構えについて、自身の事例を交えて語った。同氏はHCMC University of Technology and Educationで教鞭を執る傍ら、視覚弱者向けに触覚フィードバック機能を利用した歩行補助器具を開発・製造するKBM社の創業に関わり、さらにベトナムコーヒーなどを作れるコーヒーメーカーを開発・製造するJAVI COFFEE社の創業にも携わっている。

 Nguyen氏によれば、世界で2億8500万人といわれる視覚弱者の実に90%は発展途上国で生活しており、少ない収入のため生活が困難な状況になっているという。Nguyen氏はそうした人たちの生活向上を狙い、触覚フィードバック機能を使った歩行補助器具を手掛ける。無理なく装着できるように、器具の軽量化と低コスト化に注力しているとする。初号機では2.5kgあった質量は、改良を重ねた9号機では0.2kgと1/10以下の軽量化に成功した。9号機は既に100台が使われているとする。視覚障がい者に試作機を利用してもらいながら、装着感や光センサーの感度を損なわないように搭載部品の簡略化などを進め、軽量化を進めたという。将来、高品質で低コスト、かつ大量生産を実現していくことを考えると、日本企業などとの協力が欠かせなくなると同氏は語った。

 こうした経験から、イノベーションを起こすには弛まない試行が必要であるとし、開発目標を定めて実現に向けてより多くのことを試していく必要があると強調した。こうすることで業界のリーダーになることができ、それができなければフォロワーに甘んじることしかできないと、カンファレンスに参加した若手エンジニアを鼓舞した。

会場の様子
[画像のクリックで拡大表示]

 一方、ロームの山本氏が講演で取り上げたのは、USBで電力供給をする最新仕様「USB Power Delivery(USB PD)」のインパクトである。USB PDには供給電力の上限が10Wから100Wまでの複数のプロファイルが用意され、USBで電力供給を賄える機器の種類は大幅に増えることが市場の期待を集めている。USB PDに対して同社は製品ラインアップをそろえていること、量産中であること、そして電源関連の実績が豊富なことから、ベトナム企業がUSB PD採用機器を手掛ける際にローム製品を採用することで開発が容易になると力説した。

 なお、ロームがUSB PD製品で他社に長けることとして山本氏は、「USB PD制御用ICの開発では、データ通信に影響を与えないように供給電力を大きくしていくことが鍵を握る」とし、同社が蓄積してきたノウハウを生かすことで製品化できたと強調した。