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“規格に合ったものだけ作る”からの脱皮

 工場生産分野で登壇したのは、ベトナムSacom Wire and Cable Joint Stock社General ManagerのNguyen Van Kieu氏とOmron Asia Pacific社Hanoi Representative Office, Chief RepresentativeのTran Dung氏、ベトナム4P社General ManagerのHuynh Minh Tri氏である。

 Sacom社のNguyen氏は、品質を高く保ちつつコスト削減を進める同社の取り組みを紹介した。同社は有線通信向けの銅線や光ファイバーなどのケーブルを開発・製造する企業である。2012年よりも前は標準的な規格、例えばJISやIEC、TCVNなどを満たすことに注力して製品を製造していたが、2012年以降は個々の顧客の要求を調査・理解することに注力してカスタマイズ化した製品を手掛けるようにしているという。

 顧客の満足度を高めつつ低コスト化するために、同社が掲げるスローガンが“4M”である。4Mとは、Man、Method、Machinery、Materialの頭文字を取ったものであり、従業員や設計・生産手法、製造機械、材料に至るまで抜け目なく最適化を図ることを意味する。4Mの要素のうち1つでも変更する必要が出てきたときには、パイロット生産をやり直すという。そしてこうした変化が生じることは顧客と情報共有しているとする。「会社存続のためには顧客の要望に真摯に耳を傾け、先読みすることで安定な品質を達成していくことが必須だった。そのために4Mを導入した」(同氏)が、顧客ごとに要望に違いがあり、当初は個別対応に戸惑ったと導入当初の苦労も吐露した。

会場の様子
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新興国での安全意識、対処療法的な進め方を脱皮させる必要性大

 オムロンのDung氏が講演で紹介したのが、生産現場における安全対策導入の重要性とその導入方法である。同氏によれば、アジアの新興諸国では現在、生産現場で危険な個所が見つかった段階でセンサーを設置したり、従事者をトレーニングしたりといった対応をしているという。その対処療法的な進め方から脱皮し、生産現場の設計段階から安全策を考え、ISO/IECに則った装置選定や設計を進める段階に移る必要があるとする。

 実現するには、事故を絶対に起こさないための対策を考えるのではなく、事故は起こり得るものであり、リスクマネジメントによって事故が生じる確率を下げることへのマインドセットの切り替えが必須である。生産工程のどの部分で事故が生じる確率が高いのかを明確化し、事故の発生確率を下げる策が求められる。そこに技術力と設計力が求められ、オムロンはサポートしていくと強調した。例えば、PLCを通じてのみ安全対策を施すのではなく、PLCを介さなくても安全対策が動作するようなシステムといったものだ。オムロンはノウハウの蓄積があり、生産現場における安全対策のトータルソリューションを提供できるとする。ベトナムをはじめとする新興国ではこのような取り組みはまだ道半ばだが、認知度を高めるために活動を続けていく考えだとした。

 一方、4P社のTri氏は民生向けエレクトロニクス産業における生産現場の状況を報告した。同社は主に、民生用エレクトロニクス機器に搭載する電子回路モジュールの生産を手掛ける。市場の要求に応えるために、民生用エレクトロニクス機器では電子部品の進化が著しく、新技術の導入意欲が高い。そのため、同社は近年、生産設備の刷新を急いでいるとする。2007年には表面実装に対応するために自動挿入技術を採用した装置を導入し、2012年にはクリーンルームを開設したとする。市場の要求の動向に素早く対処するため、顧客である機器メーカーとの関係性を強め、協業によって革新性を高めていく考えである。なお、4P社は韓国LG Electronics社やキヤノンなどを顧客に持っている。