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試作したゴム製トランジスタ群(動作するのは一部のみ)
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ハイヒールで踏みつけた様子
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Tシャツに貼り付けた様子
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 産業技術総合研究所は、「衣類のように柔らかく、丈夫なトランジスタを開発した」と発表した。トランジスタのほとんどの構成要素をゴムやゲルで作製して、それらすべてが伸縮性を備えていることが特徴である。その結果、引っ張りや曲げ伸ばしに強く、ハイヒールで踏みつけても、洗濯しても壊れないとする。この点を生かして、人体や衣服にに張り付けて利用する各種大面積センサーに利用することを見込んでいる。

 このトランジスタは、約1mm厚またはそれ以下の厚みのシリコーンゴムの中にゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、そしてゲート絶縁膜やチャネルを作製したもの。1トランジスタの寸法は約1mm角で、チャネル長は約50μm、チャネル幅は700μmである。

 各電極には、ゴムに単層カーボンナノチューブを混ぜて導電性を高めた複合材料を用いた。ゲート絶縁膜に相当する層には高分子材料にイオン流体を含浸させてゲルにした材料。そしてチャネル材料は、ランダムに配向した半導体的な特性の単層カーボンナノチューブから成る。

 ゲルは酸化物のような絶縁体ではなく、電圧を印加すると、内部のイオンが移動する。これが、ちょうど電気2重層コンデンサーのように機能して誘電体と同じ役割を果たすという。

 トランジスタのオン電流とオフ電流の比は104と比較的大きい。その際に印加するゲート電圧は-2V~1Vである。

 作製したトランジスタは、長さを1.4~1.5倍に延ばす引っ張りを約1000回繰り返しても特性が大きく変化せず、曲げやねじりに対しても強いという。「手で鋭角に折り曲げても動作する」(開発者の一人である同研究所 ナノチューブ実用化研究センター 主任研究員の関口貴子氏)。

 ハイヒールで踏むと、自動車のタイヤで踏む場合の約1.7倍となる約25kgf/cm2(約245N/cm2)の圧力がかかるがそれでも、トランジスタとしての動作特性に大きな変化はなかったとする。