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 パワー半導体の新分野であるSiC/GaNデバイスの市場を展望する。 新興国の所得向上が進み、自動車や家電などを購入できる人口が急増する。 SiC/GaNは省エネや機器の小型化に貢献し、2020年にはパワー素子市場の10%程度を占める。

 2011年は、東日本大震災やタイの洪水といった大災害が起き、ヨーロッパではギリシアが財政危機に陥った。このように環境が大きく変動しているときに世界のエレクトロニクス産業を予測するには、地理、政治、軍事、経済など地政学的な要素を踏まえたマクロ的な見方が重要になる。

 図1に示したのは、地政学的な見地から予想した今後のエレクトロニクス産業のシナリオである。

図1
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年に1億人ずつ増える購買層

 これから起きるもっとも重要な変化は、新興国におけるエレクトロニクス製品購買層の増加である。新興国では現在約16億人といわれる中・高所得層に加えて、2020年までに新たに10億人の低所得者層がエレクトロニクス関連の消費を始めると予測されている。エレクトロニクス製品を買える人が年間1億人ずつ増えていくと言ってもよい。

 これからの日本企業は国内マーケットだけでは生きていけず、海外売上比率を増やさざるを得ない。そのとき海外のどこに注力すべきかきちんと見極めておかなくてはならない。中国やインドだけでなく、南米のブラジルなどがどうなっているのか、よく理解しておくべきだ。

 ブラジルは年々国民所得が高くなっており、中産階級といわれる人たちが人口の6割まで達してきた。インドの場合、人口は多いが中産階級はまだ10%以下である。ブラジルの人口も約1.9億人と決して小さくはない。南米全体では4.5億人ぐらいになるので、豊かな将来性を持っていると言える。また、ブラジルは市場としてだけでなく、南米諸国向けの生産基地という意味でも重要な国である。

 海外で消費される製品は海外で製造するのが基本で、将来ブラジルに進出するのであれば、早めに生産拠点を作ったりサプライチェーンを構築したりということを始めておかなくてはならない。

 また、エレクトロニクス産業ではシステムのプラットフォーム化が進んでおり、台湾Foxconn社のようなEMSが非常に大きくなってきている。そこではテレビも携帯電話もパソコンも標準化された部品を使い、中身はほとんど同じである。

 これから新興国中心に消費人口が大きくなるので、テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの生産台数が一気に増える。これらの国々では、日本のように高機能な製品は求めず、標準的な機能を求める。その結果、製品の種類は少なく、部品の共通化が進み、単一の部品のボリュームが非常に大きくなる。このように部品が大量に調達される時代には、サプライチェーンのあり方も見直さないといけない。

パワー・マネジメント用デバイス市場は2兆円強

 ここまでは標準部品についての動向予測だが、パワー半導体については少し異なった動きをすると見られる。パワー半導体や一部のアナログ部品は、メモリーやロジック製品と違って、ローカルなサポートが重要である。実際、米国や欧州の半導体メーカーも、パワー製品に関しては自国向け販売が一番多い。日本でも同様である。

 日本は自動車の生産国だが、自動車用のパワー・デバイスは日本の半導体メーカーから調達することが多い。カスタム性が強く、半導体メーカーとの共同開発やエンジニアリング・サポートが欠かせないからだ。日本の半導体メーカーも海外に出ていくためには、現地にデザインインの拠点を置いて、エンジニアを常駐させる必要があるだろう。前ページの図2に世界の半導体マーケットの実績と予測を示した。10年ぐらい前の世界の半導体市場は、1ドル100円で換算すれば15兆円程度の産業だった。それが、2010年前後に約30兆円、10年前の2倍になった。そしてこれからの5年間で、市場規模は40兆円程度に増えると予想されている。