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初出:日経エレクトロニクス、2011年2月7日号

 安川電機は、SiC製パワー素子を利用した電気自動車(EV)向け走行システムを試作した。同システムは走行モータとその駆動部から成る。この駆動部にSiC製パワー素子を用いることで、従来品と比べて、駆動部の体積を半分以下にした。

 今回の試作品は、既に製品化されている安川電機の電動車両向け走行システム「QMET(クメット)」をベースにしたもの。モータやインバータ装置などの大手ベンダーである同社が、実際の走行システムにSiC製パワー素子を適用したとあって、試作品を披露した「第2回 EV・HEV駆動システム技術展」(2011年1月)のブースには、多数の来場者が詰めかけた(図1)。

図1 2011年1月に開催された「第2回 EV・HEV駆動システム技術展」における、SiCを利用したEV向け走行システムの展示の様子
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 QMETのモータ駆動部は、モータの回転速度に合わせて巻き線を切り替える回路と、インバータで構成する。この巻き線切り替え回路は、安川電機の独自技術。この技術により、低速から高速までの速度領域全般で、高効率な走行が可能になるという。

 現在のQMETでは、このインバータの主回路と、モータの巻き線切り替え回路の双方に、それぞれIGBTとパワー・ダイオードというSi製のパワー素子を利用している。今回はこのうち、IGBTをSiC製MOSFETに、パワー・ダイオードをSiC製のショットキー・バリア・ダイオード(SBD)に置き替えた。採用したのは、いずれもロームの開発品である(表1)。Si C製パワー素子の採用で、インバータ全体の体積を約1/3に、巻き線切り替え回路部の体積を半分以下にまで小さくできたという。この結果、両者から成る駆動部の体積が半分以下になった(図2)。

表1 採用したSiC製パワー素子の種類
表1 採用したSiC製パワー素子の種類
図2 モータ駆動部にSiCを利用
安川電機の電動車両向け走行システム「QMET」は、走行モータと、インバータやモータの巻き線切り替え回路などの駆動部で構成する(a、b)。今回、駆動部に用いるパワー素子を従来のSi製からSiC製へと切り替えることで、駆動部の体積を半分以下にした(c)。
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