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初出:日経エレクトロニクス、2011年11月14日号
図1 SiC製SBDを用いたインバータ装置の搭載を予定する銀座線と同系の「01系」
(写真:東京地下鉄)
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 「SiCは鉄道車両にとって良いことづくめ。もっと適用範囲を拡大したい」(三菱電機 常務執行役 社会システム事業本部長の四方進氏)—。

 三菱電機は、鉄道車両に向けて、SiC製パワー素子を利用したインバータ装置を製品化する。同装置は、入力電圧が直流600V/750Vの鉄道車両を想定したもの。同装置はまず、東京地下鉄(東京メトロ)の銀座線の1車両に搭載され、2012年1月末までに運転が始まる予定だ(図1)。Si C製パワー素子を利用した鉄道向けインバータ装置を実用化するのは、「世界初」(三菱電機)となる。

 今回利用したSiC製パワー素子は、ショットキー・バリア・ダイオード(SBD)である。Si 製PINダイオードを利用した場合と比較して、鉄道車両システムの損失低減とインバータ装置の小型・軽量化が可能になる。三菱電機の試算によれば、鉄道車両システム全体でSi製PINダイオードを利用した場合に比べ、約30%の損失低減につながるという(図2)。

図2 SiC製SBDの利用で損失低減や小型化が可能に
三菱電機は、SiC製SBDを利用することで鉄道車両システム全体として約30%の損失低減につながるとみている(a)。また、SiC製SBDの利用でインバータ装置の体積と質量を約40%削減できるという(b)。(図:(a)は三菱電機の資料を基に本誌が作成)
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 小型・軽量化については、体積と質量をいずれも約40%削減できるとする。冷却機構の小型化などが可能になったからである。

  こうした利点から、三菱電機は鉄道向けインバータ装置へのSiCの利用が拡大するとみる。このため、入力電圧が直流600V/750Vの品種すべてに、「SiCを適用したい」(三菱電機の四方氏)との考えを持つ。加えて、1500V架線向けのインバータ装置にも、SiCを用いたいとする。