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SiC製パワー素子の高止まりの一因だった、SiC基板の課題が解決の方向に向かっている。価格は安価になり、品質は向上。基板の大口径化も進み、口径6インチが視野に入った。

 SiC製パワー素子を作製する上で欠かせない、SiC基板を取り巻く環境が好転している。具体的には(1)品質が向上した、(2)SiC基板が安価になった、(3)エピ基板メーカーが増えた、(4)大口径化が進んだ、の四つに分けられる。

 (1)に関しては、結晶欠陥などが少ない品質の良い基板を提供するメーカーは以前、米Cree社だけだった。そのため同社がパワー素子向けSiC基板をほぼ独占的に供給していた。ところがこの状況も変わり、「Cree社以外のSiC基板も品質が非常に良くなってきた」と、SiC製パワー素子技術者は口をそろえる。例えば、ドイツSi-Crystal社、新日本製鉄、東レ・ダウコーニング、米II-VI(ツーシックス)社などである。

 (2)のSiC基板が安価になったのは、こうした複数の企業からSiC基板が提供されるようになったからだ。価格競争が起きてSiC基板が以前よりも安くなった。

 (3)のエピ基板を提供するメーカーが複数出てきたことで、SiC製パワー素子の事業に乗り出す企業も増えた。エピ基板とは、基板上にエピタキシャル層をあらかじめ積層したもので、手間の掛かるエピタキシャル工程を削減できるので、パワー素子を作製するしきいが下がる。

 (4)については、従来主流だった口径3インチ品から4インチ品へと変わりつつある。口径が大きいほど生産性が高まるので、製造コストの削減に向く。SiC製パワー素子を安価に量産するには、少なくとも4インチ基板が必要だとされている。早ければ2012年中には、さらに大きな口径6インチがSiC基板のサンプル出荷される見込みである。

 米Cree社のほか、国内企業では新日本製鉄が2012年に6インチ品のサンプル出荷を始めると発表している。ロームの関連企業であるドイツのSiCrystal社は、2012年度末に量産することを目標に掲げている。2015年以降には、結晶欠陥の少ない口径6インチの基板が、複数社から安定的に供給されるようになるとみられる。