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初出:日経エレクトロニクス、2011年2月21日号

環境負荷低減につながる「グリーン・デバイス」として注目を集めるLEDとパワー半導体。これらの性能向上のカギを握るGaN基板が、大きく変わろうとしている。基板の大口径化や製造技術の革新が急速に進み始めた。

 エレクトロニクス機器向けの素材メーカーの間で、先陣争いがにわかに盛り上がってきた製品分野がある。GaN系半導体を利用した素子(以下GaNデバイス)の作製に使う、GaN基板(単結晶)である(図1)。

図1 GaN基板の用途が拡大
GaN基板の大口径化や基板製造技術の革新により、GaNデバイスの1チップ当たりの製造コストが低下する方向が見えてきた。これに伴い、GaN基板の適用範囲が広がっていきそうだ。GaN基板の利用で青色LEDチップの光出力の向上や、パワー半導体の損失低減を見込める。
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 最初に仕掛けたのが、現在GaN基板をほぼ独占的に供給している、最大手の住友電気工業である(図2)。2010年11月に、大幅な低コスト化などを狙ってこれまで口径2インチ(約50mm)が主流だったGaN基板の製品を、2011年度中に6インチ(約150mm)に大型化する方針を打ち出したのだ。この大型基板を安価に製造する目的で、基板メーカーのフランスSoitec社との協業にも乗りだしている。

図2 GaN基板をめぐる動きが盛んに
2010年に入り、GaN基板に関連した動きが活発になってきた。GaN基板で業界最大手の住友電気工業は、2010年11月に6インチ品を発表した。三菱化学などの競合他社も、GaN基板への研究開発に注力し始めている。(図:上2点の写真は住友電気工業)
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 これを受けて、即座に動いたのが三菱化学である。同社は、2010年12月に発表した2015年度までの中期経営計画の中で、GaN基板事業の拡大を宣言した。「2015年度までに生産能力を200倍に引き上げて、シェア40%を目指す」(同社)という。三菱化学は事業拡大のため、新たな製造技術を実用化して製造コストの大幅な低減に着手する。「現行の1/10のコストを実現する」(同社)構えである。