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著者| 遠藤 秀喜
 SCSK ITエンジニアリング事業本部 ストレージネットワークソリューション部

 サーバーに搭載されるマイクロプロセサ(CPU)の処理性能は、マルチコア化の流れの中で急速に高まっている。これに伴い、CPUの資源を有効に活用しようと、ストレージのI/O性能に対する要求が強まっている。ところが、ストレージの現在の主役であるHDDは性能向上が難しい状況が長く続いている(図1)。主要部品が機械で構成されるという、構造上の制約によるところが大きい。

図1 HDDの歴史
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 この問題を解決する手段として、NANDフラッシュ・メモリを用いたストレージが急速に普及している。我々は5年前からNANDフラッシュ・メモリ・ベースのストレージ製品に注目し、国内向けに販売してきた。以下では、NANDフラッシュ・メモリ・ベースのストレージ製品に関する当社の取り組みを振り返りつつ、技術動向と今後の展開について解説したい。

NANDを大容量ストレージに使う

 我々がNANDフラッシュ・メモリ・ベースのストレージに取り組み始めたのは、米国のあるベンチャー企業と2007年に出会ったことに端を発する。当時、高速ストレージといえばHDDを何台も並列接続する大型のRAIDディスク・アレイが一般的だった。そうした中、このベンチャー企業は半導体不揮発性メモリの一種であるNANDフラッシュ・メモリを用いて、大容量かつ高速なストレージを開発するというコンセプトを掲げていた。我々はこれに共感し、2008年に同社の日本初の代理店となり、同社ストレージ製品の販売を始めた。

 当時、NANDフラッシュ・メモリは携帯電話機や音楽プレーヤー、デジタル・カメラなどの記録媒体として消費者に急速に浸透していた時期にあり、価格も下がっていた。加えて、不揮発性という特徴を備えることから、DRAMと違ってデータ保持のために電力を消費しないなど、大容量ストレージに用いるための条件がそろっていた。

 このベンチャー企業のストレージ製品には、サーバーに内蔵されるHDDで使われるインタフェース、すなわちSCSIやSATA、SASを用いないという大きな特徴があった。サーバー内の高速I/Oシリアル・インタフェースの一種であるPCI Expressに直結して使うのである。

  この構成では、ストレージに対するデータの入出力は専用のドライバ・ソフトウエアを経由して行われ、低遅延で高速なI/Oを実現できる(図2)。実際に同社製品は、PCI Expressカード形状の1枚のストレージで、大型のRAIDディスク・アレイと同等のI/O性能を実現した。

図2 PCI Expressフラッシュ・ストレージの内部ブロック図
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