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用語解説

 CMOS(相補性金属酸化膜半導体:Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型のFET(電界効果トランジスタ)のゲート絶縁膜に使われる誘電率の高い材料のことである(Tech-On!の関連記事)。これまで,CMOSのゲート絶縁膜には二酸化ケイ素(SiO2)が用いられてきた。しかし,微細化と集積化が進むにつれて,十分なオン電流を得るためには膜厚を薄くしてチャネルに多くの電荷を発生させる必要があるが,近年ついに原子数個分まで薄くなり,「量子トンネル効果」によって絶縁膜を透過して流れ出てしまうリーク電流が増え,消費電力がアップしてしまうという問題が顕著になってきたのである。

 この問題を解決するための手段として検討が進んでいるのが,ゲート絶縁膜を厚くしてリーク電流を減少させると共に,大量の電流を流せるためにSiO2を薄膜化した場合と同様の効果を発揮する「high-kゲート絶縁膜」である。この絶縁膜を採用することにより,ゲートリーク電流を1/100程度まで下げることが可能になり,消費電力を下げることが可能になる。

ハフニウム系材料を検討

 high-k材料としては,HfSiO(ハフニウムシリケート)あるいはN(窒素)原子を添加したHfSiOが候補に挙がっている。32nm世代以降には,HfSiOよりさらになどよりもゲートリーク電流を下げられるHfAlON(窒素添加ハフニウムアルミネート)やHfO2,Y(イットリウム)2O3などのhigh-k 材料が検討されている。

「メタルゲート」と組み合わせ

 ただし,このHigh-kゲート絶縁膜を従来のシリコン(Si)製のゲート電極と組み合わせると接触面で不具合が発生して動作電圧が上昇したり,内部で「フォノン振動」が発生して電子の流れが阻害されるという問題も発生してしまう。そこで,high-kゲート絶縁膜の特長を引き出すために,ゲート電極に金属を使った「メタルゲート」が開発された。High-kゲート絶縁膜とメタルゲートの組み合わせでフォノン振動を抑えて,高い特性を持たせようという狙いである。

供給・開発状況
2006/01/20

high-k材料の実用化は45nm世代から

 high-k材料の実用が本格化するのは設計ルールが45nmの次世代半導体からだ見られている。例えば米国の大手半導体メーカーであるIntel社は,2007年の移行を予定している45nmプロセス技術でhigh-kゲート絶縁膜を採用する予定である。ただし,携帯電話機向けなどの特に低い消費電力が求められる用途では,65nm世代から採用されるという見方もある。

NEC,55nm世代からhigh-k材料採用へ

 55nm世代からhigh-k材料を実用化すると発表したのがNECエレクトロニクスである。同社は,2005年12月に,55nm世代のCMOS技術「UX7LS」を開発したと発表した。2007年6月に同技術を用いた論理LSIのサンプル出荷を始め,同年10月~11月には量産に移行する予定という。消費電力の低さと動作周波数の高さを両立したことが特徴で,携帯電話機,デジタル・カメラ,テレビなどに使われると見る。

 UX7LSでは,high-kゲート絶縁膜を採用することにより,ゲートリーク電流を低減し,トランジスタ特性を向上させた。材料としては,SiON膜とSiを添加したHfO2(Hfシリケート)膜の2層構造である。HfシリケートはSiONよりも比誘電率が高いため膜厚を厚くでき,SiONに比べてゲート・リーク電流はnMOSトランジスタで1/50,pMOSトランジスタで1/100に低減できたという。

「半導体MIRAIプロジェクト」でも研究

 世代半導体の実現を目指す国家プロジェクト「半導体MIRAIプロジェクト」でもhigh-kゲート絶縁膜が研究テーマに挙がっている。同プロジェクトは2005年6月,high-kゲート絶縁膜としてHfAlO,メタルゲートに多結晶Si全体をNi原子によってシリサイド化した「FUSI(fully silicided)」を使った,ゲート長6nmの次世代トランジスタを試作した。ゲート長6nmは,22nm世代技術に相当する。

ニュース・関連リンク

「45nm世代に匹敵する性能を得た」,NECエレクトロニクスが55nm世代のCMOS技術を発表

(Tech-On!,2005年12月5日)

【CEATEC】NECエレ,high-k使った65nmチップを2007年上期にサンプル出荷

(Tech-On!,2005年10月4日)

半導体MIRAIプロジェクト,ゲート長6nmのMOSトランジスタを試作,良好な動作を確認

(Tech-On!,2005年6月21日)