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 データの統計学的な解析に基づいて製品の不良率を引き下げる品質管理手法のこと。標準偏差「σ」を語源とする。米Motorola社が日本のQC活動を参考に開発したもので,それを米General Electric社が経営全体を改善する手法として発展させた。ばらつきが発生するプロセスにおいて,平均値を向上させることよりもばらつきを抑えることに主眼を置く。国内ではソニーや東芝,シマノなどが実践している。

 正規分布において,ある値が平均値から6σの範囲に入らない確率は100万分の3.4。転じて,「100万回の作業で不良が発生する回数を3.4回未満にする」ことを目標にする言葉として定着した。

 特徴の一つが,顧客の視点から目標を設定すること。顧客は,自分が購入した製品やサービスの品質を平均値で評価するわけではない。自分が使用している製品固有の品質で評価する。企業は顧客に提供する製品の品質を,可能な限り均質にする必要がある。

 そこでシックスシグマでは,製品に不良があった場合に発生するコスト(COPQ:Cost of Poor Quality)を定量的に把握し,その改善の必要性を明確にする。COPQとしては,再生産にかかるコストや廃棄コストといった顕在的なコストと,生産計画の変更に伴うコストや販売機会の損失といった潜在的なコストがある。こうした数値から,解決すべき問題を決め,具体的な改革活動に入っていくわけだ。

 シックスシグマの改革プロセスは,一般にMeasurement(測定:M),Analysis(分析:A),Improvement(改善:I),Control(管理:C)というMAICの4ステップで実行する。目に見える問題をPlan(計画),Do(実行),Check(確認),Action(処置)というPDCAの4ステップで改善していくQCサークル活動と比べて,潜在的な問題を見つけることを重視しているのが特徴だ。

 改革の全体目標は,顧客が品質評価で最も重視する項目(CTQ:Critical to Quality)として,COPQなどを考慮したうえで決定する。まずMのステップでは,CTQに関わるデータを徹底的に収集し,大きな影響を与えるプロセスを見つける。収集したデータからそのプロセスの現状を正確に把握し,目標値を決める。続いてAのステップでは,そのプロセスでなぜ不良が発生するのかを分析する。Iのステップでは,Aで明確にした問題における主要変数のばらつきが許容範囲内に収まるように改善策を練り,プロセスに変更を加える。最後のCのステップでは,改善策の効果を測定してCTQに与えた影響を見るとともに,改善結果を定着させる活動を進める。

 実際の製造業では,まず主要部品ごとに重要寸法を抽出し,数値管理を徹底する。設備能力の検証,測定データの検証などを通じてばらつきの原因を分析し,管理項目とその目標値を明確化する。そのうえで管理項目のばらつきを抑える改善策を施す,といった流れになる。

 シックスシグマでは,部門を越えたプロセス改善を実施する場合もあるため,通常はシックスシグマの推進担当者を専任で置く。こうした手法が「日本企業には合わない」とする声があるのも事実。そこで,シックスシグマ手法すべてではなく,顧客指向で考える,目標を定量的に決定する,といった特徴的な部分だけを生かすというやり方も有効だろう。

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