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 企業活動を通じて蓄積されるさまざまな情報や知識,ノウハウを体系的に管理・共有化して企業戦略に生かしていこうという経営管理手法を指す。

 現在のように電子化された膨大な量の情報が行き交うなかでは,重要な知識や知見が埋没してしまったり,散逸してしまうことも多い。その一方で,個人的なノウハウはなかなか他人が伺い知ることができない。

 そこで,コンピュータシステムを利用してこれら価値ある情報・知識の集約と共有化を図り,これを再利用することで新たな価値創造に結びつけようというのがナレッジ・マネジメント・システムの狙いだ。例えば,データウエアハウスを利用したマーケティング戦略の策定などもナレッジマネジメントの一つと言える。

 ここでいうナレッジの対象は幅広く,顧客情報から財務情報,製造情報,エンジニアが個人的に持っているノウハウまで,ありとあらゆるデータや情報,知見が管理の対象となりえる。中でも,管理対象として重要視されているのが,文書や数字で表しにくい個人の主観にもとづく「暗黙知」と呼ばれるナレッジである。経験や勘に基づくノウハウなどがこれにあたる。

 これに対し,文書化されたり定量化されたりした客観的なナレッジを「形式知」と呼ぶ。報告書やマニュアルなどがこれにあたると考えて良い。個人に偏在する暗黙知を,できるだけ文書化・定量化して他人が利用できる形式知に変換する「表出化」が,ナレッジ・マネジメントの重要な取り組みの一つである。

 ただし,あらゆる知が形式的な知識や知恵として共有化できるわけではないため,「だれがどんな分野のエキスパートか」といった情報を管理する「KnowWho」システムもナレッジ・マネジメントの一つとして注目が集まっている。

 一般に,現在のナレッジ・マネジメントは,野中郁次郎氏(現北陸先端技術大学院大学教授)が提唱した知識創造理論に基づく四つのフェーズに分解される。(1)報告会や勉強会などで暗黙知を暗黙知のまま獲得する「共同化」(2)形式知へと変換して共有化する表出化(3)組織として既存の形式知を結合して,さらに新しい形式知を生む「連結化」(4)組織で共有した形式知を個人で消化して自分自身の暗黙知とする「内面化」である。

 この四つのプロセスをスパイラル状に繰り返すことによって企業としての知を成長させていくことこそナレッジ・マネジメントの取り組みの本質であるとされている。

 従って,従来の情報共有システムとは一線を画していると考えるべきだ。現状のシステムの多くは,機能面だけを見るとあくまで情報共有システムであったり,エキスパートシステムであって,厳密な意味でのナレッジ・マネジメント・システムとはいえないかもしれない。

 しかし,そもそもナレッジ・マネジメントは,ITシステムだけで完結するものではなく,ナレッジを管理するためのチーフナレッジオフィサー(CKO)を設置したり,社員の啓もうを行うといった総合的な取り組みが求められる。ITはこれを支援するのに過ぎない。

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