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 通信技術の標準化機関であるITU-T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector)と,MPEGを規定したISO(International Standardization Organization)/IEC(International Electrotechnical Commission)が共同で策定した国際標準規格で,「MPEG-4 AVC(advanced video coding)」とも呼ばれている。他の動画符号化方式と同様に,規格書はビット・ストリームの規定を示したもので,復号化に必要な仕様を記載している。ただし,参考として符号化の記載もあり,各社はこれを基本として独自に工夫を重ねる。H.264は,ITU-Tで1998年から検討が始まった「H.26L」をベースにしている。その後,2001年にITU-TとISO/IECがJVT(joint video team)を立ち上げて,共同でH.264の標準化作業を始めた。なお,H.26Lの「L」はLongTermの頭文字を取ったもの。時間をかけても高圧縮の符号化技術を作り上げる部会だった。一方で,Short Termの部会はH.263を作り上げた。H.263はMPEG-4 Visualのシンプル・プロファイル(simpleprofile)のベースになった符号化方式である。

 MPEG-2やMPEG-4 Visualをはるかに超える圧縮率を実現できるのが特徴で,想定されているアプリケーションは幅広い。主にSDTV以上の解像度を想定するMPEG-2と,携帯電話機などSDTV以下で多用されるMPEG-4 Visualを包含する。なお,MPEG-4 Visualでも画面画素数がHDTVの映像をサポートするプロファイルは存在する。ただし,実際に多用されているのはシンプル・プロファイルとアドバンスト・シンプル・プロファイルで,画面画素数はSDTVと同等もしくはそれ以下だった。

 H.264では,利用できる圧縮ツールに合わせて,いくつかのプロファイルが規定されている。ベースライン・プロファイルには,Iピクチャ,Pピクチャ,ループ・フィルタ,1/4画素フレーム間予測,4:2:0のYUVフォーマット入力,VLCベースのエントロピー符号化,フレキシブル・マクロブロック・オーダーなどの要素技術が含まれている。メイン・プロファイルは,ベースライン・プロファイルにCABAC(context adaptive binary arithmetic coding)と呼ぶ算術符号化技術や両方向予測のBピクチャ,フィールド(インタレース)・エンコーディングなどが加わったもの(フレキシブル・マクロブロック・オーダーは含まない)。拡張プロファイルはベースライン・プロファイルにBピクチャやフィールド・エンコーディングなどを加えたものである。