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global positioning system

 米国が運用する周回衛星を使った全地球測位システム。衛星は30個ほど打ち上げられており,このうち4個の衛星波を受信すれば,受信地点の緯度,経度,高さに加えて時刻も測定できる。GPS衛星が利用する周波数は2つあり,民生用には1575.42MHzの周波数が使われている。測位に必要な情報は,PN(pseudo-noise)符号を用いて拡散し送信される。カーナビで一般に利用されているほか,最近では携帯電話機向け市場の本格的な立ち上がりが期待されている。

 GPSによる測位は三角測量に似た原理で行う。具体的には,GPS衛星には原子時計など正確な時計が搭載されており,その時刻情報や衛星の位置を示す軌道情報などを多重した信号が発射される。すなわち受信時刻(t)が分かれば,信号に埋め込まれた時刻情報との差によって電波を受信するのにかかった時間が算出でき,さらに衛星と受信地点の距離が求まる。一方,受信地点の緯度,経度,高さ(x,y,h)を仮定すると,衛星の軌道情報から求めた位置と比較したときの距離が求まる。ここで,tを基に電波の伝播時間から求めた距離とx,y,hを基にした距離は等しいので,1つの衛星の信号から,4つの変数から成る2次元方程式が1つできることになる。4つの衛星を受信すれば4つの連立2次方程式が出来上がり,これを近似的に解くことで,場所と時間を特定できる。

 途中で受信できる衛星の数が3個に減ると,受信機に搭載する時計で受信時刻を計ることになる。一般に受信機に搭載する時計の精度は衛星に搭載しているものほどよくないので,次第に測位の精度が下がることになる。受信する衛星の数が2個になっても,受信機の高さが変わらないと仮定することで測位を継続できる。GPSは,衛星から受信地点までの距離をベースに測位するので,衛星からの受信してまでの電波の進路に壁などの反射物があると,測位精度が落ちる。室内などで受信する場合は,電波を受信できても精度の低下は避けられない。

 GPSを利用したシステムで測位を始めるのにかかる時間は大きく2段階に分かれる。長時間利用せずに放置しておいた受信機を利用する場合が最も長い。衛星の位置に関する情報を受信機が持ち合わせていないケースである。このため1個の衛星波を補足し,衛星の軌道情報を取得するところから始める必要がある。周回するすべての衛星の軌道情報を得るには12分30秒かかる。

 こうした衛星の軌道情報があらかじめ受信機に入っている場合は,もう少し早い。衛星の詳細な軌道情報などを得て,測位を始める。いったん測位が始まると,連続して位置情報を検出することが可能である。