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 電波条件が良ければ,下り方向(ネットワークから端末方向)について最大2.4Mビット/秒の高速データ通信が可能となるベスト・エフォート型の無線方式。既存のcdmaOneと同じ,1.25MHz幅の電波を使って高速データ通信を可能にするため,cdmaOneやその後継のCDMA2000システムとの共存が可能。米QUALCOMM社が開発した無線データ通信技術「HDR(High Data Rate)」をベースとする。国内ではKDDIが2003年からサービスを提供している。

 高速化に向けては,多値変調に加えて,通信する相手の順番を決めるスケジューリングに工夫を施したり,無駄なデータ送信を避けるための誤り対策手法「hybrid ARQ」を採用するなどしている。なお多値変調は電波干渉に弱く,伝送路条件に大きく左右される。そのままでは,せっかく多値変調を導入してもその効果が発揮されない。そこで,電波干渉をなくすために下り回線を符号多重から時分割多重に変え,ある時間の基地局の出力信号を1つの端末に割り当てる方法を採った(図)。

 なお,次世代規格に「Revision A」がある。これは2004年3月に新しく制定された国際標準規格で,下り方向のスループットが3.1Mビット/秒に上がる。またマルチキャストや,パケットの帯域保証(QoS)を実現する。

符号多重と時間多重のいいとこ取り
図 符号多重と時間多重のいいとこ取り
1xEV-DOは単位時間ごとに基地局のリソースを割り当てる端末を切り替える(図の左上)。基地局と端末が通信する時間は1.67msと短いため,ある一定時間で見れば複数ユーザーと通信しているように見える。一方のCDMA2000 1xは複数端末と同時に通信するため,端末の受信状態に応じて基地局のリソースを共有し合う(図の右上)。1xEV-DOとCDMA2000 1xの違いは基地局の出力電力にある。ある時刻において1xEV-DOの通信相手は1人であるため,通信する端末の受信状況に関係なく,最大出力電力で信号を送れる。つまり,全送信出力をデータ通信用に使える(図の左下)。一方,CDMA2000 1xでは複数の端末と通信するため,あるマージンが必要となる。電波干渉を避けるためである(図の右下)。日経エレクトロニクス2003年8月4日号より抜粋)