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bulk acoustic wave filter

 AlNやZnOなどの圧電膜をMoなどの電極層で挟み込んだ構造の共振器を使うフィルタ。SAWフィルタは表面弾性波を利用するのに対してBAWフィルタはバルク弾性波と呼ぶ圧電膜自体の共振振動を利用する。この共振器は基板の種類を問わず,例えばSi基板上に形成することができる。

 BAWフィルタは,Si基板を使い半導体技術で製造できるため,これまでのSAWフィルタや誘電体フィルタとは異なり,半導体メーカーがフィルタを作ることが比較的容易となる。半導体メーカー携帯電話機のRF回路部の集積技術と位置付ける。

 BAWフィルタには,例えばFBAR型(film bulk acoustic resonator)やSMR(solid mounted resonator)型がある。FBAR型は共振器の下部に空洞(キャビティ)を設けることで,圧電膜を自由に振動させる構成のもの。一般に共振器下部にキャビティを形成するため,Siに深堀りするための異方性エッチングやディープ反応性異方性エッチング(Deep―RIE)など,いわゆるMEMS技術を用いて製造する必要がある。

 これに対し,SMR型は,共振器の下部に音響多層膜(ミラー層)を設けることで弾性波を反射させる構成を採る。キャビティを設けることなく形成できるため,Siの薄膜プロセス技術だけで済む。ただし共振器の振動による弾性波を閉じ込めるためインピーダンス値の異なるWなどを利用した音響多層膜を利用するが,この層数が多くなる。また,この音響多層膜において弾性波の反射時に損失が発生することから,Q値や挿入損失などの特性が落ちる可能性がある。

(a)米Agilent Technologies Inc.のFBAR型BAWフィルタ FLO Network
(b)ドイツInfineon Technologies AGのSMR型BAWフィルタ FLO Network
図 Si基板上に形成できる
BAWフィルタの大きな特徴は,Si基板上に形成できることである。(a)は米Agilent Technologies Inc.のFBAR型の構成。AlN製の圧電膜の共振を,Si基板にMEMS技術で形成したキャビティで閉じ込める。(b)はドイツInfineon Technologies AGのSMR型BAWフィルタの構成。AlNの圧電膜の共振による弾性波を下部に設けたAlNおよびWの層のインピーダンスを制御することで閉じ込める。(2004年7月5日号より抜粋)