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 固着を担う樹脂と,導電を担う金属(導電性フィラー)を混合したもので,電気を通す性質と物質同士を固着する性質を併せ持つ。一般には,エポキシ樹脂とAg(銀)を組み合わせることが多い。研究開発は50年以上も前から続けられていたが,材料技術や信頼性評価技術などの開発が十分でないことから,製品への応用は発光ダイオード(LED)のチップの固定など一部の用途に限られていた。

 この導電性接着剤に対し,エレクトロニクス業界の期待が急速に高まり始めている。背景には,Pb(鉛)フリー化の流れなどがある。導電性接着剤は+300℃程度でも短時間であれば接合を維持することから,Pbフリー化に伴う代替技術が確立していない高温ハンダの代わりになる可能性があるためだ。このため,例えば経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,高温ハンダの代替技術の開発を進める事業「電気電子機器促進高温鉛はんだ代替技術開発」を2005年6月~7月に開始する予定である。小型・薄型が求められる携帯機器では,基板の薄型化や多層化,モジュール化などに伴ってより低温で実装したいという要求が強まっている。導電性接着剤を使えば,+150℃以下の低温で実装できる。

 導電性接着剤の課題には,主に(1)材料特性,(2)被着体の選択性,(3)規格化・信頼性,がある。(1)の関連では,導電性フィラーに利用しているAgのイオン・マイグレーション(水分の存在下でイオン化した金属が,電界によって引っ張られて移動する現象)があり,これを抑える材料の開発が進んでいる。(2)の被着体の選択性とは,接合する電極のメッキの成分との相性のことを指す。特に,電極のメッキとして一般的に使われているSnとの相性が悪いことが課題になっている。Snメッキとの相性が悪い理由は,高温高湿環境下で,導電性フィラーに利用しているAgとの間に「局部電池腐食」と呼ぶ電池が形成されてしまう現象が生じること。この結果,接触抵抗値が上がったり,接合強度が劣化したりする。

熱硬化で接合
図1 熱硬化で接合
導電性接着剤は一般に,固着機能を担う樹脂と導電機能を担う金属(導電性フィラー)を混合したものである。プリント配線基板上に電子部品を実装する場合,スクリーン印刷などで導電性接着剤を電極上に塗布し,部品を搭載してから熱を加えて接着剤を硬化させる。通常は,+150℃前後で30分ほど熱を加えることで,実装が完了する。(2005年2月14日号より抜粋) 導電性接着剤の課題の例
図2 導電性接着剤の課題の例
2005年2月14日号より抜粋)