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 電力線を用いてデータ通信を行うもの。国内では,利用できる周波数が10kHz ~450kHz に限定されており,9.6kビット~100kビット/秒程度の低速なデータ通信の用途で利用される。総務省では,周波数帯域を2MHz~30MHz程度に拡大し,高速化することの是非を検討するため,「高速電力線搬送通信に関する研究会」を2005年1月から始めた。高速電力線通信の実用化をねらう家電やモデムのメーカーなどは,MPEG-2で圧縮したHDTVデータの伝送などを狙っており,総務省は同年10月をメドに結論をまとめる予定である。

 電力線通信の利点は,既に敷設済みの電力線を使って部屋間をまたがった通信が可能になることである。しかし,もともと電力線が通信用途を想定して敷設されたものでないため,漏洩電力が問題になっている。日本では,2M~30MHzの帯域で,航空通信,海上通信,短波放送,アマチュア無線,電波天文といった用途で利用されている。こうした先行ユーザーは,これまでの無線利用に影響を与えないようにするため漏洩電力に対する厳しい規制を求めている。2002年にも「電力線搬送通信設備に関する研究会」が開催されたが,実環境実験で微弱無線局の許容値の数十倍の値を示す結果が得られたことなどから,実用化が見送られた経緯がある。その後,メーカー側が実験を積み重ねるとともに,漏洩電力を抑える技術の開発を進めてきたこともあり,改めて実用化の可否を検討することになった。

 電力線通信の仕様は各モデム・メーカーにより異なるが,変調方式にはOFDM(Wavelet OFDMを含む)あるいはSS(スペクトラム拡散)変調を使っている。漏洩電力を抑える対策としては,受信感度の向上や,不平衡信号を低減するコモンモード・チョークコイルによるコモンモード電流の低減がある。さらに,所望の帯域を押さえる手法としては,ノッチ・フェルタの導入,あるいはOFDMでは搬送波別に通信をオン/オフする手法がとられている。特に,WaveletOFDMは,OFDMにおけるサイドローブを抑える効果を持つ(図)。

FFTベースのOFDMとウエーブレット変換OFDMの比較
図 FFTベースのOFDMとウエーブレット変換OFDMの比較
松下電器産業によると,Wavelet変換を使えば,FFTに比べてサイドローブの電界強度を大きく削減できるという。(2004年3月1日号より抜粋)