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 酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide)のこと。可視光の透過率が高く導電性を持つため,透明電極として使われる。液晶パネルやPDP,有機ELパネルなどを用いるフラットパネル・ディスプレイ(FPD)に多く用いられる。例えば,液晶パネルの場合は液晶分子の配向を制御するための電圧を印加する電極として,ITOを利用している。有機ELパネルでは正孔輸送層,発光層,電子輸送層を挟む陽極にITOを用いる(図)。ほかに,抵抗膜方式のタッチ・パネル,太陽電池,青色発光ダイオード(LED)の電極にも使われている。

 ITOに含まれるIn(インジウム)が希少金属であり,FPDの出荷数が増加してInの需要が増えているため,製造工程での廃材の削減が課題となっている。

 ITOを使った透明電極はスパッタリング法により形成する場合が多い。このスパッタリング法では原料であるターゲット材に多量の廃材が生じるという課題があった。そのため,ITOのターゲット材メーカーが中心になって各工程から出るITOの廃材を回収し,Inとして精錬,リサイクルする環境が整っている。現状のITOのターゲット材では,最初に投入するInの使用量はバージン材(新規材料)が約35%で,リサイクル材(再生材料)が約65%とリサイクル材の方が多い。

 別な製膜方法として,ITOを直接塗布して加熱処理することで融着させる方法も研究が進む。この方法の場合,廃材の削減や簡易な印刷技術による製造などの利点が見込める。

 製造工程での無駄をなくすだけでなく,廃棄された液晶パネルなどからInを回収しリサイクルする技術も開発されている。

単色有機ELパネルの構造 図 単色有機ELパネルの構造
(日経エレクトロニクス2000年3月13日号より抜粋)